インタビュー

2025.02.28

「伝わること」からアクションへ。「人」を巻き込む取り組みで課題解決をめざす ~広島県三次市事例~

見出し: 本文:
三次市秘書広報課 安本さん

広島県三次市は、中国地方のほぼ中央に位置し、2本の高速道路がクロスするアクセスも良好のまちです。3本の川が合流する盆地で、秋から早春の間、「霧の海」が見られ、毎年多くの人が訪れます。また、400年以上も続く「三次の鵜飼」は夏の風物詩となっています。
そのほか、ワイン、ピオーネ、もののけなど、豊かな自然と奥深い歴史や文化が息づくまちです。
また、子育て、教育、医療、まちづくり、DXなどの取り組みを積極的に進めており、市民の暮らしを便利で豊かにすることをめざしています。
今回は、庁内の情報発信に関する取り組みや地域住民を巻き込んだ街の魅力発信への取り組みについて、秘書広報課の安本さんにお話を伺いました。

市民のみなさんと一緒に作ることからシビックプライドの醸成につなげる

  Q.三次市の取り組みの中で、情報発信や住民の方への配慮など、具体的な活動内容、その中で抱えている課題などあれば教えてください

安本さん:三次市では、令和3年度からシティプロモーションの取り組みをはじめ、「みよし 人よし 元気よし」を三次市のブランドメッセージに決定し、市内外への発信を行っています。
このブランドメッセージを決定する際にも「市民のみなさんと一緒に作りたい」という思いがあり、市民投票を行って決定をしました。
Web投票の実施だけでなく、市内の商業施設に投票ボードを設置し買い物ついでにシール投票をしてもらう、という取り組みを行い市民を巻き込んでブランドメッセージを決めることで、シビックプライドの醸成につながるように取り組みました。

「相手に伝わること」が重要。「伝わること」から「つながること」、そしてアクションにつなげる

  Q.三次市の取り組みの中で、情報発信や住民の方への配慮など、具体的な活動を教えてください

安本さん:情報発信に関しては、「相手に伝わること」を重視して取り組んでいます。さらに「つながること」、情報の受け手がそれをきっかけにアクションを起こすことにつながればとても素晴らしいことだと思います。
具体的には、広報紙やホームぺージなどでUDフォントを利用し、誰もが読みやすい情報提供を行っています。また、デジタルコンテンツやSNSを活用した発信にも力を入れています。カタログポケットを導入していますが、スマートフォンで広報紙を読むことができ、音声読み上げや検索機能もあるためとても便利だと思います。当初は外国人住民への発信を強化したいという目的からカタログポケットを導入しましたが、最近ではテキストが大きく表示できることや音声読み上げができることがご高齢の方からも見やすいと好評です。
※三次市のコンテンツはこちらから
また、公式LINEでもカードタイプの記事作成のときはUDフォントを使っており、読みやすい、わかりやすいと好評です。おかげさまで、友だちの数が約15,000人になり、これは本市の規模でいうとかなり高い割合(約32%)だと思います。

  Q.地域課題の解決に取り組む中で、民間企業との連携をどのように考えていますか?

安本さん:職員研修では見やすい資料を作成する研修を行いました。今後も、職員一人ひとりが三次市の魅力を再発見し、自ら情報発信できるような仕組みづくりを進めていきたいと考えています。
担当の職員によっては以前からUDフォントを使おう、という意識が強く、普段のメールソフトをUDフォントにしている職員もいました。
そのような中で、以前から興味をもっていたUDフォントではあったのですが、モリサワさんの研修を受けたことで自分の中で納得を得られたようでUDフォントを積極的に使っていくという意識が強くなったように思います。
それ以外に変化を感じた場面がケーブルテレビでのお知らせの取り組みです。
ケーブルテレビの番組のコーナーとして、「市からのお知らせ」という15秒ぐらいで市の情報を届けるコーナーがあるのですが、そこに出す原稿がいままでは前年踏襲の原稿が多かったのですが、研修実施後は、元のデータを見直して研修で教わったような日時・数字の表記を強調した原稿に作成をし直すなどあきらかに学んだことを生かしていて、研修での変化を実感する機会も増えています。

職員自らが発信したい、という環境を。「庁内広報」で住民に伝わることを可視化

安本さん:三次市では、LINEの登録者数やいいねの数が多かった記事などを紹介する庁内広報「MIYOSHI TIMES」を発行(不定期)しており、職員にフィードバックをしています。多くの方に情報が伝わっていると実感すると、発信者側の職員も積極的に情報を発信しよう、さらにはわかりやすく発信しようという意識が生まれると考えているからです。
どこの自治体でも悩みとしてあると思いますが「広報以外の部署の情報発信・広報に対する熱量が少ない」という課題があると思います。
職員自らが発信したい、と思うような取り組みが何かできないか、ということで庁内広報の発行を考えました。自分が発信したことがちゃんと伝わって形になった、ということを返してあげることでやる気につながるんじゃないかと思って取り組んでいます。
自分が作った原稿が、みんなに見てもらって、みんなが良い反応をしてくれることがわかると次の記事ももっとよくしよう、という考え方になると思っています。

「地域も職員も自分の住んでいるところが好き」という想いが地域課題の解決の第一歩に

安本さん:三次市では、本市内外の多様な「ツナガリ人口」の拡大を推進するとともに、官民連携の地域課題を解決する取り組みを展開するなど、「つながり」や「共創」を軸とした地域の魅力を高める取り組みを進めています。プロモーション活動では、三次の魅力を市外に発信し、認知度向上を図る取り組みを実施しています。
ただ、こういった取り組みは地域の人と一緒に取り組まないと難しいと考えており、冒頭の話にもあったようなシビックプライドの醸成にもあるように、「地域も職員も自分の住んでいるところが好き」だと思わないとなかなか地域課題の解決には進んでいかないと考えています。

  Q.地域課題の解決に取り組む中で、民間企業との連携をどのように考えていますか?

安本さん:地域と自治体だけではできないことを民間企業のみなさんにも協力していただかないといけないと考えています。モリサワさんとの連携では、昨年実施した研修で学んだ資料の見せ方はとても大事で、伝わらないと意味がないと思っています。
そういったところをモリサワさんにもサポートをしてもらい、習ったことを地域の人に伝えるときにうまく伝われば職員のやる気にもつながりますので、そういった循環が大事だと思っています。
研修では、ユニバーサルデザインについても言及してもらえており、こういった考え方を知る場面も今までなかったので良い機会になりました。その中でフォントを選ぶことも大事なんだと実感してもらえる良い機会になったと思っています。

モリサワ:今回、安本さんから三次市の取り組みのお話を聞かせていただいた中で印象的だったことは「巻き込む」というキーワードでした。広報の部署だけではなく他の部署を巻き込むための庁内広報の取り組みもそうですが、住民の方を巻き込むためにブランドメッセージの住民投票を行うなど、広報担当だけが情報発信に取り組むのではなく、さまざまな立場の方も一緒に取り組むことが情報配信力の強化やシティプロモーションにつながることを改めて教えていただきました。
このような巻き込む取り組みの中にわたしたちモリサワの研修でお話した「伝わること」の重要性やフォントを選ぶことの大事さが少しでもお役に立てているのであればうれしい限りです。今後も情報配信の取り組みの中で連携をしていければと思っています。
私たちモリサワでは、自治体の皆様へ団体向けのブランディング支援として資料研修や最適なフォントをご提案いたしておりますので、ぜひご相談ください。

お知らせ

広報力アップ研修! 「伝わる」資料デザインプログラム

わたしたちモリサワは今年度より、公共団体、学校職員・教職員、企業向けに、『伝わる』資料デザインプログラムとして資料作成研修をはじめました。
フォントメーカーによる、資料作成術を分かりやすくロジカルに解説し、センスだけに頼らない資料作成のスキルアップをサポートする研修プログラムです。
自治体事例もあわせて、詳しくはコチラをご覧ください。

地域ブランディングを強化する自治体制定フォント

情報発信の多様化が求められる今、自治体の顔(ブランドイメージ)を明確化するために声(フォント)を統一し、地域ブランディングを強化しませんか。

自治体制定フォントの効果
・地域ブランディングの強化
・円滑なシティプロモーション
・地域アイデンティティの確立
・シビックプライドの醸成

詳しくはコチラの資料をご覧ください。