6月に行われた第2期モリパス部3回目部会をレポート! 今回は、いよいよ課題の最終発表です。部員たちは「フォントで東京を表現」するという課題&フォントとどう向かい合い、作品を仕上げてきたのでしょうか?
立体・映像・本。多様な作品が完成
5月の課題中間発表から、3週間。この間、部員たちは、軌道修正を繰り返し、ときにはゲストの下浜さんにLINEで相談しながら、作品を完成させてきたようです。
ポスター、写真集・ガイドブックなどの冊子、立体、モーショングラフィックス、東京中を巻き込んだプロモーション…と、さまざまな形態の作品が持ち寄られました。
メンバーの発表を聞いた下浜さんは、個々へのコメントとともに、こんな総評をくれました。
「文字は伝達の道具。普通はあくまで、文字によって伝える“内容”が作品の主役ですよね。でも今回は、“文字”も主役。なかなか高度な課題だったと思います。自分ではいつもニュートラルなフォントを選んでしまうだけに、フォントに主眼を置く制作は、僕も迷ってしまいそう…。
文章を組むのに適したフォントか、ロゴ的に使うと強いフォントなのかを判断して選ぶということも、ひとつの重要な視点だったかもしれません」
また顧問の橋爪さんからも、コメントが。
「いろいろな捉え方で、フォントを選んでくれていてうれしいです。今後の参考にして欲しいのですが、たとえば、かな書体をうまく使うことで、作品のコンセプトをより表現できることもありますよ。
下浜さんのアドバイスも生かし、今後、作品をよりブラッシュアップしてみてください」
みんな、フォントをどう選んだ?
今後ブラッシュアップが完了した作品は、改めてブログでご紹介予定。本記事では、「部員たちが、どんな視点で、作品に使うフォントを選んだか?」にフォーカス。2名に話を聞いてみました。
直原さんは、“ドライな東京”を“クールな街”と捉えたそう。制作したのはポスター。首都高の写真の下に、黎ミンでコピーを配置した作品となっています。
「今までの部会のセミナーで、書体がつくられた時代のニーズにより、エレメントやふところが異なる…という話がありました。黎ミンができたのは、比較的最近だという話も。それをヒントに選びました。
黎ミン=新しくて洗練されたイメージ。でも、明朝体であることが冷たさをやわらげ、“ドライ=クール”に昇華できると思ったんです」
吉田くんはフォントを擬人化し、東京の各街に佇む人々を表現。街の個性に合わせて7種類のフォントをセレクトしました。
「勝鬨で夜景を眺めるカップルには、はるひ学園がマッチすると思いました。はるひ学園は、個性があり、自由さを漂わせる書体。“学園”の名から、青春っぽさも感じます。でも学校は、窮屈な場所でもある。それでも、自分らしさを守っている人って、素敵ですよね。この書体にも、そんな魅力を感じたんです」
打ち上げ!課題でなにを吸収した?
作品発表後は、ドリンク&軽食で打ち上げ!
互いの作品のことを詳しく聞いたり、課題制作の計4週間、フォントに向かい合った感想を語りあったり…。
ちなみにメンバーからは、こんな声が聞こえてきました。
「フォントの持つ“イメージ”だけでなく、
並べたときの“黒さの濃度“にも、目を向けてフォントを選んだよ」(榛葉)
「実は、デザイン書体を使うのは苦手だったの。今回、普段は選ばないフォントを使ってみたことで、『表現力を高めるには、やっぱり、いろんなフォントを知らなくちゃ!』と痛感(笑)」(稲葉)
打ち上げには、下浜さんと顧問たちも参加。メンバーにとって、部会では聞けなかった質問をしたり、より詳しい講評をしてもらう時間ともなりました。
これで、個々で課題に取り組む、モリパス部前半戦は終了。次回以降の部会では、新たな課題「イベント制作」「フリーペーパー制作」がスタート。2チームに分かれて活動していきます。
フォントの世界に触れた部員たちが、「同じ美大生に伝えたい!」「もっと深く知りたい!」と思ったのは、どんな点なのか…。次回以降、制作の舞台裏を通してお伝えしていきます。
ライター:ウメザワ