今回より本コーナーでは、1年間 FONT SWITCH PROJECTのモリパス部活動に密着。その様子をレポートします。まずは、2017年2期目の活動を前に、顧問の橋爪明代さんにお話をうかがいました。
学生だからわかる、フォントの魅力 それを発信するのが、モリパス部!
老舗の書体メーカ・株式会社モリサワが手がけるFONT SWITCH PROJECTは、「フォントの感性を“ON”にする」プロジェクト。そのメインは、美術系大学・専門学校生で構成される“モリパス部”。1年間、同じメンバーで活動する部活動です。
この部活動は、何を目指しているのでしょうか? 顧問の橋爪明代さんに伺うと…。
「モリサワでは長年、“フォントの魅力”を伝える活動に取り組んできました。大学に出向いて講座を開いたり、学校の課題でコラボしたり…。FONT SWITCH PROJECTは、そういった活動を統合したもの。2016年6月から名付けたプロジェクトです。
でも、メーカとして『フォントって素敵だよ』と言うだけでは、本当の面白さ・奥深さは伝わらない。学生の瑞々しい感性でこそ、気付けることがあると思うんです。そして、学生目線で捉えたフォントの魅力は、ほかの美術系学生たちにも、きっと有意義な発見になるはず。
モリパス部は、そんな思いから生まれました。私たち顧問は、部員の学生メンバーが自らフォントの魅力を見つけ、部外の同志へと発信するサポートをしていきます」
フォントを知り、楽しむことで“表現を高める鍵”を手に入れて
現在はモリサワの社員として顧問を務める橋爪さんですが、実はご自身も美術系大学出身。フォントの面白さに気付いたのは、大学時代とか。
「日本画を学んでいました。日本画はデッサンから下書きをした後、骨描き(こつがき=アウトラインを墨でとる技法)を行ってから、彩色します。私は、とくに骨描きの“線の美しさ”に心ひかれていました。書体もラインが大切。そんな共通点に気付いて、すっかりフォントファンに(笑)」
美術系専攻の学生であれば、フォントの存在はなんとなく把握しているはずです。しかし「書体は日々触れているもの。ありふれたもの過ぎて、“どれだけ重要か”が見落とされがち」と橋爪さん。
「フォント製品『MORISAWA PASSPORT』に入っている書体は、1000以上。明朝体・ゴシック体だけでも、山ほど種類があるんです。伝えたいイメージを叶える書体を探すのは、まさに宝探し(笑)。
その宝物を見つけるため、モリパス部の活動が役立ったら。書体それぞれの差&その書体をどう並べるかによって、『伝えるイメージがこんなにも違う!』ということを実感して欲しいと願っています」
2017年の活動、見どころは…28の個性が出会うフォントの魅力
さて、モリパス部の具体的な活動内容とは? 昨年度は、講座で知識をインプットし、課題やフリーマガジン『FONT SWITCH MAGAZINE』、Facebookなどで、フォントの魅力を伝えるアウトプットすることが、活動のメインでした。
2年目は、そのすべてをバージョンアップ! 顧問からの講座・ワークショップはもちろん、書体デザイナーとのワークショップなども充実させていくそう。課題に関しては、ゲストを招き講評をいただくとか。
部員個々がたっぷり知識を吸収したら、6月からは2チームにわかれて活動。フリーペーパー制作&イベント企画を行います。
さらにメンバーも、昨年度の17名から28名に。その分、さまざまな個性が出会った、フォントの魅力が見られるはず…!
本ブログでは、学生制作の課題なども発信していきます。1年間、是非ご注目ください。
ライター:ウメザワ