今年の春から集まったモリパス部3期生もいよいよ卒業の時期となりました。
「フォントの感性を”ON”にする」というテーマのもと、半年間ともに力を合わせつくり上げた「FONT SWITCH MAGAZINE Vol.3」。その完成記念イベントが関西モリパス部にて開催されました。
モリパス部ではフォントが大好きな学生たちが、彼らの目線でフォントについてもっと知りたい、知ってもらいたいという思いで活動してきました。そして今回のイベントでは「FONT SWITCH MAGAZINE 」の制作を通して感じたことや、伝えたいことなど、制作プロセスを踏まえて発表してもらう場となりました。
関西では特集記事としてインタビューをさせていただいた井口皓太さんをゲストに迎え、誌面だけでは伝えきれない内容を交えたトークイベントも合わせて行われました。
たくさんの苦労を乗り越えたメンバーも全員が集まれる最後の機会となった今回のイベント。この半年をやり抜いた彼らの姿をレポートしていきます!
制作秘話も盛りだくさん! 笑いもありの完成発表会!
関西モリパス部メンバーは総勢15人のメンバーで構成されており、それぞれの興味関心に合わせ、ビジュアルチーム、MOTCチーム、書体研究チーム、特集チームと4つのチームにわかれて紙面を制作してきました。
この記念イベントでは各チームどのように活動してきたのかの制作プロセスを発表しました。
まずは、関西モリパス部代表として中原優さんがオープニングプレゼンを担当。冊子のテーマである「文字を纏って。」を提案し、関西メンバーのリーダーのような存在でいつも場を盛り上げてくれる彼女、この日もメンバーの先に立ち大役を務めました。
次に表紙、目次、広告ページ、編集後記と多くを担当したビジュアルチーム。メンバー4人各々に担当を持ち、この冊子のキーとも言えるビジュアルを支えました。
表紙では、「文字」と「纏う」をつなぐために布を用い、テーマの品良く繊細なイメージを表現できるように、「明石」という書体を選んだことなどを語っていただきました。
「みなさんこんにちは、本日のラインナップはこちら。さっそく朝刊のモリパス特集新聞から気になるニュースを深掘りしたいと思います!」
こんなセリフで始まった特集チームの発表。彼らはこの日にゲストとして招待している井口皓太さんのインタビュー記事を担当しました。どうやら発表にむけて前日から準備をしていたようで、「モリパス特集新聞」という新聞を配布し、情報番組形さながらのプレゼンを行いました。
特集記事で井口さんを取り上げようとした理由や、当日のインタビューの様子などを紹介し、少し緊張気味だった会場の雰囲気も和やかなものとなりました。
書体デザイナーの神田友美さんとともにワークショップを行った、モリサワタイプデザインコンペティション(MOTC)チームは「ワークショップの雰囲気だけでなく、これを読んだ人が、文字の形を見たときにつくる人の目線で見られるようになって欲しいと思いつくりました」と、完成した先の読者を考えながら制作していた様子が伺えました。
書体研究チームは、OpenType機能を利用した縦書きの連綿体が特徴的な、2017年リリースの和文フォント「みちくさ」という書体に注目し、どうしたら読者が興味をもってもらえるのか工夫しつつ、書体の最新事情を探りました。
プレゼンでは、紙幅の都合でボツになった企画、最も格好良い連綿体の組み合わせを選ぶ「最強のみちくさ」を来場者の投票により決定する場面もありました。
来場者に楽しんでもらおうという気概を感じたこの発表会。関西メンバーのおもてなしの心の高さに感心するばかりでした。
文字の新体験? 新たな発見が目白押しのゲストトーク!
後半は特集記事で取材をさせていただいた、井口皓太さんをゲストに迎え、トークイベントです。
クリエイティブディレクター、アートディレクター、映像ディレクター、モーショングラフィッカーとたくさんの顔を持つ井口さん。今回はモーショングラフィックスに焦点を当てて、実際の作品を紹介していただきながら、話をしていただきました。
「文字を纏って。」というテーマについては、「誰かがつくった文字を動かすことって、その文字に乗り移らないといけないときがあるんですよね。つくっている人達の考え方とか、リズムとかを理解するために。そうした形の手前にあるフィジカルな部分を感じるために、文字を纏ってるって言えるかもしれないですね」と評していただきました。
「文字の動き」という、時間軸のある表現を扱うことで、文字の世界を開拓し続ける井口さん。そんな第一線で活躍されるクリエイターのお話を聞きながら、メンバーたちは新たなフォントの感性が”ON”になったのではないでしょうか。
トークイベント後は、イベントに参加していただいた方々との懇親会が開かれました。
中には冊子制作に関わっていただいた先生方や、デザイナーの方など駆けつけてくださり、学生たちを労う様子がありました。
イベント中になかなか聞けなかったことや話し足りないことなどお世話になった方と語らうメンバーちらほら。
笑って泣いてまた笑う、最後は笑顔の卒業式!
懇親会後は、関西モリパス部メンバーがこの半年間を振り返り、フィードバックし合いました。
「さまざまな大学のメンバーと一つの作品を作れることはすごく為になった」
「たくさん苦労もあったけど、達成感もあって、やってきて良かったです」
「何度も訂正があって心が折れかけたけど、確実に強くなったと思います」
15人のメンバーそれぞれが冊子の制作を通して感じたことは楽しかったことや、苦しかったことなど様々でした。けれど、最後はみんな前向きで、モリパス部として有意義な活動ができたことがわかりました。
そしてついに卒業式。
一人ひとり好きなフォントで飾られた手づくりの卒業証書。橋爪顧問からメンバーそれぞれに声をかけて堅い握手を交わしました。
最後に関西メンバーへ向けた言葉を贈られ、モリパス部第3期生は卒業です。
「このあっというまだった半年間はみんなにとっては濃厚で大変なものだったかもしれません。何度も嫌になったこともあったと思います。でもこの経験が少しでもみんなの人生の足しになればと願っています。」
”フォントが好き”このたった一つの共通点で集まったモリパス部。きっとここでしか出会わなかったメンバーの方が多かったのではないでしょうか。それも出会ったが縁、お互いに刺激し合い、初めましてのあの頃よりずっと成長した姿がありました。
ここで紡がれた縁を大切に、今後も大きく羽ばたいていく彼らを応援していきたいと思います!
FONT SWITCH MAGAZINE Vol.3はこちらから読めます!