インタビュー

2021.08.24

上智大学短期大学部 狩野晶子先生インタビュー

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上智大学短期大学部
狩野晶子 先生

インタビュー記事内でご紹介した教材(PowerPoint / PDF)は、実際にダウンロードし、活用いただけます。 下記教材ダウンロードフォームより簡単なご登録をいただいた後、ダウンロードページに移動します。(一度登録いただければ、次回より入力内容が保存されます。)

Q. どんなお仕事をされていますか?

上智大学短期大学部 英語科の教授として、英語教育に関わっています。早期英語教育分野での30年以上のキャリアを活かし、小学校外国語(英語)の授業実践や先生方の研修を全国で実施しています。また、短大の学生たちが行う、年間のべ160学級での英語授業の監修と指導にあたっています。
小学校における外国語(英語)教育は2008年度から始まったまだ新しく若い分野です。今の先生たちはまだ小学校での英語の授業経験が無い世代であり、他の教科と比べ小学生の「英語」のイメージが共有されておらず、さらに、成長期の幅広い小学生の発達段階に合わせた指導の難しさもあります。

Q. フォントのスイッチが、“ON”になった瞬間を教えてください。

英語の教材作りを通して、使用場面や目的、対象者の認知発達段階に応じた書体選択が大切だと実感したのが、フォントのスイッチが“ON”になった瞬間です。英文こそ、使用場面ごとにフォントで読みやすさが変わります。大人が密度の濃い文字量の英文を読むときはローマン系の書体が読みやすい。でも、小学生にふさわしい文字の大きさや文字量で教材を作るときには、UD欧文フォントだと読みやすさが格段に上がると感じます。

Q. よく使うモリサワのUDフォントとそのご利用シーンはなんですか?

大学での仕事関連では、和文は「BIZ UDP黎ミン」をよく使います。1行あたりの文字がコンパクトにまとまるので使いやすいです。小学生を対象にした教材やスライドなどは、やはり和文は「UDデジタル教科書体」、欧文は「UD Digikyo Latin」や「UD Digikyo Writing」を使っています。
ただ自分のパソコンから他のプラットフォームに持っていくと相手の書体環境によって文字化けしてしまうので、PDFにしています。WindowsOSのバージョン違いや、MacやiPadなどOSやデバイスの違いを意識しないで使えるように、これらの書体が教育現場の標準として使えるように広まってくれると嬉しいですね。

Q. モリサワで先生方の教材作りを応援することも考えていますが、何か良いアイデアはありますか?

先生方が簡単にプリントして作れるようなアルファベットのカードを作っています。大文字と小文字を4線上に示したカードで、学校でプリントし裁断するだけで使えるようにモノクロで作っています。

よく教科書の後ろにアルファベットのカードがついていますが、同じ文字が1枚ずつしかないので、プリントして沢山作れた方が良いです。また、子どもたちが単語を覚えるときに、ひと文字ひと文字の形でなく全体のシルエットで覚えるということがあります。「a」「o」などxハイトに収まっている字、「l(エル)」「h」などxハイトより上に突き抜けている字、「p」「g」など下に突き抜けている字など、小文字をブロックで見せられるようなフォントやカードがあっても面白いですね!

※今回、狩野先生の監修の元、英語の先生方への授業応援教材として、話に出てきたアルファベットカードとブロックカード、PowerPointで使えるカードデータを提供しております。冒頭の「教材ダウンロードフォーム」より、ご利用ください。

Q. これからモリサワのUDフォントに期待することは何ですか?

今、コロナの影響で、大学の授業は対面でなく全てオンライン授業となり、沖縄から北海道まで全国の生徒たちとZoomで一斉に繋いで講義をし、課題を出しています。小学校の訪問授業もできないので、学生には動画での配信とワークシートをデジタルデータで作ってもらい、小学校に提供しようと準備しています。学生たちはスマホのソフトなどを使って動画をうまく作ってきますが、キャプションがいまいち読みやすい書体になってないので、流れていく字幕などでも読みやすいUDフォントを使える環境を提供してほしいと思っています。コロナの影響もあり、先生方が動画教材を作ることも増えていますので、需要はあると思いますよ!
セミナーや勉強会などアンテナを張っている先生方のスライドがUDフォントに変わってきたのを見て、モリサワさんが頑張っているのは肌で感じています。これからも子どもたちの学びのために、頑張ってくださいね。

学生たちの教材作成風景

こちらの教材で使用の欧文書体「UD Digikyo Writing」はMORISAWA BIZ+(月330円で55種のUDフォントが使用可能)のサービスでご利用頂けます。 https://www.morisawa.co.jp/products/fonts/bizplus/lineup/

また、下記より狩野先生のインタビュー動画もご覧いただけます。

未来につながる教育の第一歩 新しい小学校英語での文字指導に適したUDデジタル教科書体の書き学習用欧文

狩野先生、インタビューにご協力いただき有難うございました。

狩野晶子先生の英語教材(アルファベットカード・ブロックカード)を活用したアレンジ教材編

兵庫県三木市立三木東中学校の田中桜先生が「ブロックカード」を活用したアレンジ教材「砂文字カード」を紹介してくださいました。

アルファベットカードの活用例
大文字カードは切り取らずシートとして使います。切り取った小文字カードを大文字シートの上に載せていきます。大文字と小文字のプリントする紙の色を変えて、分かりやすくしています。

ブロックカードの活用例
【砂文字カード】

多感覚を用いた文字指導のための教材です。
文字を見る(視覚)、声に出して読む(聴覚)、そして人差し指(または人差し指と中指)でザラザラに沿ってなぞりながら、文字の形やストロークを感じ取れることがねらいです。(触覚)

ベースの紙は糊でふやけないように写真用光沢紙を使っています。
右利き用は文字を右に、左利き用は文字を左に印刷し、カードをしっかり手で押さえるように配慮しています。

左上(h):縦線とカーブで構成される文字
右上(i):縦・横線で構成される文字
左下(k):縦・横・斜線で構成される文字

左上(a):反時計回りの円と縦線で構成される文字
右上(b):縦線と時計回りの線で構成される文字
左下(c):反時計回りの円で構成される文字
右下(f):その他
グリッターペンと、書き始めのドットシール

グリッターペンの色を、文字形状の特徴(下図「形状による分類」を参照)によって変えていますが、糊が乾くと色の違いが分からなくなりました。なので、私は左上にシールで色分けしています。フエルトカードやモールカードで色分けして応用も出来ますね。

書き始めがわからないという生徒がいますので、ドットシールをつけています。

※ 手島良先生の『これからの英語の文字指導』に記載されている〈小文字分類〉を参考にし、ブロックカードの文字形状(UD Digikyo Writing)に合わせて一部変更しています。

記憶のメカニズムには、音韻符号化、保持、想起の3つのステップがあります。一言で「英単語が覚えられない」と言っても、実際にはどのステップでつまずいているのかをまずは確認することが必要です。

モリサワより提案
ブロックカードと同じ4線の位置による分類の場合は、下記をご参考にしてください。


※ フエルトカードにアレンジする場合は、「フエルト転写用データ」をご活用ください。アルファベットカード・ブロックカード共に使えます。上記の「形状による分類」「位置による分類」の2種あるので、選んでご利用ください。
作り方は、飯島睦美先生の提案教材 Stage2「フエルトカードの作り方」を参考にしてください。

皆さんも、アレンジ教材や、ご家庭や学校での子供たちの反応など、お知らせくださいね。
E-mail: public-biz@morisawa.co.jp (教材担当:公共ビジネス課 高田・須田)