FONT SWITCH PROJECTでは、2023年6月1日に、静岡大学工学部にて「伝わる発表資料デザイン講座」を実施しました。
普段、研究発表などでスライドや資料を作成される工学部の学生さんに向けて、伝わりやすいフォント選択やレイアウトについてお話ししました。任意参加のセミナーでしたが、100名以上の学生さんにご参加いただき、質問コーナーではたくさんの質問もいただけ、関心度の高さに驚きました!
本レポートでは、セミナー概要と受講者の感想を本セミナーの実施にご協力いただいた工学部の石原進教授より寄せていただいたコメントとともにお届けします。
今回は任意参加のセミナーでしたが、開催に関する学内への案内を流した途端に多くの参加希望が集まり、学生のみなさんの関心の高さを感じました。セミナー後も活発な質問が飛び交い、講師の井上先生に自分の組版デザインを見て欲しいと相談する学生も登場するなど、充実した90分でした。素晴らしいセミナーをありがとうございました。
セミナー概要
本セミナーでは、普段はものづくりを学ばれ、研究発表などでスライドや資料を作成される機会も多い工学部の学生さんに向け、二部構成でお話ししました。
一部:「モリサワの書体づくり」
フォントの基礎知識を交えつつ、モリサワの書体制作現場の制作過程や書体づくりにおけるこだわりポイントについてお伝えしました。
二部:「伝わる発表資料作成のコツ」
発表スライドのサンプルデータをもとに、資料作成時に役立つノウハウをお伝えしました。
どのようなポイントに注目し、どのように整えていくことで「伝わる」資料にできるのか。どちらも同じ内容だけど、要素の配置やフォント選びがダメダメなBeforeと注意ポイントをおさえたAfterのサンプルスライドを例に解説しました。
受講された学生・教職員のみなさんの声
このような場はあまりないので、非常に有意義な時間でした。
新歓でポスターを作るのでネットでデザインを調べたことがありましたが、もっと踏み込んだ部分、パワポなど実践的な内容があって、面白かったです。
文字間や行間設定についてのお話は、特に今後活かしていけそうだと感じました。
普段気にせずにフォントを選択していましたが、今回の講義を通して見え方にこんなに違いがあるということが分かり、今後に活かしたいと思いました。
フォントを作る課程が面白かったです。
同じフォント名でもPがあるものとないもので違いが分からなかったので、その違いと適する用途が分かって良かったです。
自分の研究発表資料の作成にとって、とても勉強になりました。また、学生のスライド作成を指導する際に、上手く言語化できないと感じることが少なくなりそうです。
受講後に実施したアンケートでは、授業内容についての満足度も高かったです。
石原教授に聞きました~学生への思い~
モリサワ:セミナーを開催にご賛同いただいた理由は何でしょうか?
石原教授:学内での研究発表会で残念なデザインのスライドを見たり、フォントの選択や改行幅が不適切な学内資料を見たりして、見た目の問題で中身が全く伝わってこないという経験をする中で、「彼らがデザインの基本を少しでも知っていたら、コミュニケーションはもっと円滑になるのなあ」という思いを強くしておりました。 学生たちがコミュニケーションのためのデザインを学べる機会を提供できるなら、いくらでもやりたいと、セミナーの企画に賛同いたしました。
加えて、私自身がフォントやデザイン、組版が好きで、セミナーの開催をとても楽しみにしていました。企画に当たっては以下の2点を強調して頂けるようお願いしました。
① デザインの基本を知ることで、自分のもっているアイディアをロスなく相手に伝える技法を身につけられるということ
② フォント製品の開発ストーリーを伝えることで、工学部の学生のものづくりマインドを刺激するということ
セミナーではバランス良くこれらの内容が盛り込まれたお話しを伺うことができました。
石原教授に聞きました~セミナーを終えて~
モリサワ:実際にセミナーをやってみていかがでしたか?
石原教授:セミナーでは、フォントの基本、フォントの製品化過程の紹介の後、スライド作成に焦点を当ててデザインの基本についてモリサワさんに分かり易く解説して頂きました。研究室での学生指導ではミリ単位でスライドのデザインに注文をつけることもあるのですが、今回のセミナーでこうした注文の後ろにある考え方を学生の皆さんもわかってくれたのではないかと思います。特に、行の長さに応じた改行幅の調整やマージンの大切さを認識している人は少ないので、体系立てて説明して頂いて非常に良かったと思います。
フォントに関するお話の中では、UDフォントによって文字が読みづらい方々が素直に読めるようになるというお話を聞き、文字だけでなく全てのデザインに通じるものがあると感じました。また、和文フォントで文字の繋がりに応じて形が変わったり、同じ文字が繰り返し出てくると違う形になるという機能のお話しは、大変驚きました。ものづくりを学ぶ工学部の学生には大いに刺激になったと思います。
今回は100名強の学生諸君と教員が参加しましたが、もっともっと多くの学生、教職員にセミナーの内容を伝えたいと思います。セミナーの参加を自分では申し込まないような方々に是非参加していただきたいです。ストレスのないビジュアルコミュニケーションのスキルを皆が身につける日を夢見ています。
工学部の皆さん、意欲的にセミナーを聞いていただきありがとうございます。
フォントとレイアウトが皆さんの学業のお役に立ててとてもうれしいです。
なかなか知られることはありませんが、私たちの暮らしの中には、たくさんのフォントであふれていて、様々なコミュニケーション手法の土台になっています。
今回はプレゼンスライドでフォントを生かすお話が中心でしたが、発表用ポスターや論文、プライベートでの創作活動など、さまざまなところで文字の力を生かしていただけるとうれしいです!
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