イベント

2022.07.11

【教育Day28日】小中学生の英語教育 欧文フォントの重要性を探る
〜検証に基づく欧文フォントの理解と問題点〜

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共生社会に向け、多様な人々に質の高い教育を提供することや生活する上で必要な情報をしっかり届けることが重要視されています。2022年5月末のオンラインイベントで、【教育Day】では母語以外の言語習得とUDフォントをテーマに、【自治体Day】では自治体の広報と共生社会をテーマに構成し、各業界の専門家をゲストにお招きしてさまざまな講演を行いました。​

今回は、5月28日(土)の『小中学生の英語教育 欧文フォントの重要性を探る 〜検証に基づく欧文フォントの理解と問題点〜』をレポートします。

セミナー当日のアーカイブ動画を視聴したい方は、下記よりご視聴いただけます。
※動画視聴には、登録が必要になります。

※検証については中間発表のため、アーカイブの一部を編集させていただいています。

セミナーレポート

セミナーの満足度

参加者の声

参加者
参加者

教科書を作っている方から直接お話を聞けてよかったです。文字に配慮した教科書を使えているので、自分が作成し提示していく教材のフォントにもこだわっていきたいと思いました。

参加者
参加者

現在の子どもたちの学習状況やフォントの及ぼす影響がよくわかりました。実際の学校でのアンケート結果の生の声は印象に残り、自分が考えていた視点と小学生の視点とでは、違う部分もあり、大変に貴重な情報となりました。

参加者
参加者

タイトルなど学習の興味をひくフォント、知識の蓄積としての学習のためのフォント、両方使い分けることによって学習効果が上がることを再確認できました。

モリサワより

モリサワ
モリサワ

今回のセミナーでは、出版社の編集者や現場の先生方を通して、実際の小学生や大学生の反応を取り上げることができました。
飯島先生の研究発表では、参加者からもチャットや交流会などで貴重なご意見が交わされました。今回は途中経過のご報告でしたので、今後の展開も注目です。

セミナーの内容

「UDデジタル教科書体の従属欧文と欧文シリーズについて」

株式会社モリサワ 営業企画部 公共ビジネス課 野村 陽香(のむら はるか)

私たちがお届けしているUDデジタル教科書体は、初めて英語を習う子どもでも学びやすくなっているのが特徴です。デザインは2つあり、丸と線を組み合わせているBall & Stick体の「従属欧文」は、左右対称となっています。そのため「a」と「o」や、「d」と「b」の区別が付きにくいという特性があります。

一方、「欧文シリーズ」は手書きのように左右非対称となっているため、「b」と「d」や、「p」と「q」などの判別がしやすいのが特徴です。また欧文シリーズは画数が少なく、書きやすいというよさもあります。いままでの英語の教科書ではBall & Stick体が使われていましたが、2020年度からは欧文シリーズの形状が採用されています。

「Blue Sky elementary フォント選定の観点」

新興出版社啓林館 英語編集部 
岩本 芙未(いわもと ふみ) 氏

弊社が制作している小学校英語の教科書『Blue Sky elementary』では、イラストや写真などの近くに英単語を明示するようにしています。音と文字をセットにすることで、英単語に慣れ親しんでもらうのが狙いです。

アルファベットの「読み」「書き」を小学生がしっかり学ぶには、書き写しがしやすいフォントであることが肝心です。たとえばローマン体はヒゲのような装飾「セリフ」があるなど、カタチが複雑なので、小学生の教科書にはあまり向いていません。

一方、サンセリフ体も「a」が書きにくいほか、大文字のアイ「I」と小文字のエル「l」がほぼ一緒なので、小学生にとってはハードルが高いといえるでしょう。以前、アルファベットの識別がしやすい、Comic Sansというフォントが学校現場で採用されたこともありましたが、クセがあって読みづらいという側面がありました。

そこで弊社が採用したのが、モリサワさんのUD Digikyo フォントです。弱視の方や読み書き障害のある方にヒアリングをしながら開発されたこのフォントは、手書きに近く、書き写しがしやすいんです。またタブレットなどに表示するデジタルの教科書でも読みやすいほか、子どもたちが書き学習をするときに便利な「UD Digikyo Writing」というフォントもあり、使い勝手がよいと感じています。

「英語学習における文字・フォントがもたらし得る影響」

群馬大学 大学教育・学生支援機構大学教育センター 教授 
飯島 睦美(いいじま むつみ) 氏

英文で書かれたある2つの物語の途中までを、2つの学生グループに片方ずつ見せ、その続きがハッピーエンドになるかバッドエンドになるかを調べたことがあります。実は、それぞれの物語の書体を大きく変えていて、柔らかなフォントのほうが、ハッピーエンドを予想する学生が多い結果となりました。こうしたことからも、フォントはコミュニケーションツールの1つであり、私たちの気持ちに及ぼす影響は大きいといえます。

それから英語学習も発達に合わせた段階があり、中学1年生になると音中心の学びから文字中心の学びに移行します。いままで音声で認識していた内容を効率的に理解するには、文字が読みやすく、書きやすいことが大切です。

そこで私はどういうフォントが視認性や判読性などに優れているのか、小学校でテストをおこなっています。実施中のためはっきりとした結果はまだ出ていませんが、「セリフ」がないフォントのほうが視認性や判読性が高い傾向があるようです。

また単語の暗記法を聞くと、「発音しながら書いて覚える」という学生がまだまだ多いです。となると、手書きに近いフォントのほうが覚えやすいでしょう。こうしたことも視野に入れつつ、中学校、高校、大学でも、実証実験を実施したいと考えています。

それからモリサワさんは、フォントがもっと身近に感じられるサイト「FONT SWITCH PROJECT」を公開されています。私が監修を務めました、『9つの発達段階に沿った英語学習教材』が無料で使えるようになっていますので、ぜひご覧になってみてください。

児童の側から見た英字フォントについて

東京都武蔵村山市立第九小学校 副校長
日吉 英智(ひよし ひでとも)氏

本校の5・6年生、合計87名に、フォントに関する調査を実施したことがあります。まず、気になるアルファベットがあるかどうかを聞いたところ、「a」「i」「g」「l」「t」などの形状の違いを挙げる生徒が多くいました。まったく形状による違いが気にならないという児童ももちろんいますが、「気になる」と答えた児童の多くは特別支援が必要なケースが多いです。

またこの調査では、Century(1つ)、丸ゴシック系(1つ)、ユニバーサルデザイン系(3つ)という、5つのフォントを見比べてもらいました。すると、ユニバーサルデザイン系を「一番見やすい」と答えた生徒は65名に上りました。自由記述欄には、「教科書で見る文字と同じだから」「国語で習ったローマ字と同じだから」という回答が見られました。

子どもたちが最初にローマ字と出会うのは、小学3年生の国語です。授業は年間5時間ほどと少ないものの、ここでの学習がその後の基礎をつくるほどインパクトは大きいようなので、ちょっとした文字の違いによって子どもたちの学習に影響が出ないようにできたらと思います。

今回は先生方のパソコンに入っている書体での比較調査でしたが、UD Digikyoフォントのように研究を基に開発されている欧文書体があるようなので、そちらも含め有効に活用していただければと思います。

交流会

イベントの最後には、3名のご登壇者と視聴者による交流会を開催しました。塾経営者の方や小学校の英語の先生など、さまざまな教育に携わる方がご参加。「フォントの違いによって、これだけ文字の認識に差が出るとは思ってもみなかったので、驚いた!」という感想が聞かれたほか、子どもたちを教育するうえでの意見交換がいろいろとおこなわれました。

司会を務めたモリサワの担当者は、「いろいろな職種の方が英語教育について議論できる場を、フォントメーカーとしてこれからも、たくさんご提供できればと考えています」と締めくくりました。


教育現場でも活用できる55書体のUDフォントが活用できるプラン
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学校組織としての課題解決に興味がある方、UDフォントの活用を検討される方は、下記よりお気軽にご質問ください。

実際にいただいた声
実際にいただいた声

大学で英語を教えていますが「UDデジタル教科書体」付属の英字に不満があり、別のフォントを組み合わせていました。
欧文フォント「UD Digikyo Latin」が別にあるということを知ったので、すぐに「MORISAWA BIZ+」の導入を決めました。