株式会社モリサワは産学連携の取り組みとして、宮城県登米総合産業高等学校において「レイアウト」と「フォント」を学ぶ授業を実施しました。
宮城県登米総合産業高等学校は、6つの学科(農業科、機械科、電気科、情報技術科、商業科、福祉科)を設置している宮城県内初の総合産業高校です。生徒たちは日々専門的な分野を学び、卒業後には多くの生徒が就職を控えています。そして、この度「レイアウト」や「フォント」に関する知識は、全学科で共通して学ぶべきものと感じていただいたことから、今回の産学連携プロジェクトの実施につながりました。
授業では、「レイアウト」と「フォント」の基礎知識や活用のコツ、現在教育現場でも注目され始めているUD(ユニバーサルデザイン)フォントについても紹介しました。生徒たちに、学生生活や就職後の資料作りで役立ててもらうことに加え、今後もフォントへの親しみを感じ続けてもらうことを狙いとしています。
授業の流れ
授業は学科ごとの学びに合わせ、2つのグループに分けて2日間実施しました。
農業科、機械科、福祉科のグループには、座学を中心とした身近なフォントに触れる授業を行いました。
1日目は伝わる資料を作るためのレイアウトのポイントについて学び、2日目は身近にあふれているフォントについて学びます。授業内では、各自の私物から身近に存在するモリサワフォントを探したり、自校のホームページの書体を変更することで書体が与えるイメージの変化を感じてもらったりしました。
電気科、情報技術科、商業科のグループには、PowerPointを活用した実践的な資料作成の授業を行いました。
1日目は、伝わる資料を作るためのレイアウトのポイントについて学び、授業後、学んだことを基に、モリサワが用意したサンプル資料を、「伝わる」資料になるようにブラッシュアップしました。そして2日目は、生徒に作成いただいた作品の添削をおこない、フォントの使い方について学びました。
生徒からのコメント
「普段なんとなく使っているフォントも、自分には見やすくても相手には見にくい物があるということが分かりました。これからはしっかりと選んで使っていきます。」
「今まではたかがデザインという考えでいましたが、この2日間の授業でデザインに対する考え方が変わりました!」
授業に参加いただいた生徒からも、フォントやレイアウトに関しての考え方が変わったというコメントをいただき「フォントへの親しみを感じ続けてもらう」第一歩となりました。
授業に参加いただいた、先生方からのコメント
本校では、学校設定科目として「起業実践」という授業を展開しています。地域などの課題をみつけ、その課題を解決するためにさまざまな提案を考える授業であり、登米地域の企業や団体の方々に協力をいただき、アドバイスをいただいています。その際に、説明資料やプレゼン資料の作成を行っています。
これまでの生徒たちが作成した説明資料やプレゼン資料は、読み手(相手)を意識したものではなく、作成者が説明するための資料になってしまい、読み原稿になってしまっていると感じていました。
今回の生徒向け授業では、普段何気なく目にしている書籍、カタログ、ゲーム、WEBサイトなどで使われている文字の書体(フォント)を探すレクレーションをしたり、ベタ打ちしたプレゼン資料を個々に直したり、オンラインの授業でしたが工夫をしていただきました。
レイアウトやフォントを意識するだけで、よりたくさんの人に伝えたいことを伝えられるというのは、社会人にとって重要なスキルになると感じています。
現在、プレゼン資料の作成に取り組んでいますが、その様子を見ていても、レイアウトやフォント等に変化があり、生徒たちの資料づくりへの意識が変わったと感じています。
今後も、これまで作成していた資料を「4つの視点(1.優先順位をつける 2.文字の大小 3.行間と行の長さ 4.コンテンツの配置)」で見つめ直し、ユニバーサルデザインの考えのもと、障害の有無や年齢、性別などに関わらず、よりたくさんの人に伝わる資料づくりに挑戦していきたいと考えています。
授業に参加いただいたみなさん、ありがとうございました。
身の回りにある「フォント」が、より身近で意識を向ける存在に変わっていれば嬉しいです!