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2020.10.23

セミナーレポート:SDGsを軸にコロナ禍の広報の在り方を見直そう

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「地方創生に向けたSDGsと情報のユニバーサルデザイン化について」と題した自治体オンラインセミナーを、5月20日に開催しました。ここではその模様をダイジェストでお伝えします!


元埼玉県三芳町 広報PR担当/東京都 中野区広報アドバイザー
佐久間 智之氏

行政広報の課題と改善策とは?

冒頭、オンラインならではのシステムトラブルに見舞われながらも、人気タレントのような軽快な口調で話を進める佐久間さん。「コロナ禍では行政の伝えたいことと、住民の知りたいことにギャップが生まれて問題になりました」と指摘します。そして発信する情報が誤解されない方法を、具体例を交えながら3つ提示してくださいました。

①順位をつける(例:特別定額給付金)
チラシの目立つところに「すべてのみなさまへ」と表示することで「給付金は自分にも関係あるんだな」と注意を引くことができます。何を伝えるか、優先順位をつけることはとても大事だといいます。

②ピクトグラムを使う(例:3密)
「密接」「密閉」と言われてもなかなかピンと来ませんが、ピクトグラムを使うとわかりやすくなります。無理にでもピクトグラムを入れるのがコツだそうで、絵が入ることで自然と文章が削られて凝縮され、わかりやすい広報物になるのだそう。

③UDフォントを使う(例:薬の服用法)
正しい服用数は3錠なのに、8錠に見えたら大変です。多くの人にとってわかりやすい「ユニバーサルデザインフォント(UDフォント)」を使用すれば、より見やすくなり、命にかかわる大切な情報も正しく届けることができます。

ポストコロナ社会に必要なこと

今度は、コロナ後の広報誌の在り方について語ってくださった佐久間さん。コロナ禍では、オンラインでのコミュニケーションが身近になりました。今後は直接会って話す機会が減り、スマホやパソコンでのやり取りが一層増えていくというのは、多くの人が感じているところでしょう。そこで重要となるのが、SDGsにも通じる「情報弱者を生まないこと」です。

渋谷区や埼玉県三芳町はスマホのような小さな画面でも文字がわかりやすいよう、すでにUDフォントを導入しているとのこと。また千葉県君津市や三重県いなべ市はモリサワの翻訳機能付きソフト「MC Catalog+(エムシーカタログプラス)」を採用。10言語に対応しているため、日本に暮らすさまざまな国籍の外国人にも情報が届きやすくなります。

「ピクトグラムやUDフォントを導入するなど、きめ細かな配慮ができる街が、これからは選ばれていくでしょう」と訴える佐久間さん。たとえば目に留まるがん検診の広報物を見て受診し、命が救われれば、一旦はその街を出たとしても、また戻ってきたくなるはず。「広報はラブレターなので、思いを届けて好きになってもらうことが必要です」と締めくくりました。

とても見やすい佐久間さんの資料について、参加者からは「パワーポイントでつくっているのですか?」との質問が。佐久間さんは「パワーポイントでつくっています。見やすいのは、UDフォントを使っているからです」と、UDフォントの重要性を強調しました。


奈良県生駒市 市長公室 広報広聴課 プロモーション係長
村田 充弘氏

コロナ禍で進化したユニバーサルデザイン

続いて発表した村田さんは、穏やかなトーンで生駒市の取り組みをわかりやすく説明してくださいました。「SDGs未来都市」に選定されている生駒市は、小中学校にUDフォントを導入。子どもたちにテストを解いてもらうことでその効果を測定したところ、一般的なフォントの正答率は66%だったのに対し、UDフォントは81%、解答数も一般フォント24問に対し、UDフォント29.5問と、いずれも数値が改善したことを紹介しました。

コロナ禍では、生駒市の広報紙にクレームがたくさん寄せられたそうです。校了日から印刷まで半月のタイムラグがあったため、「危機意識が低いのでは」「情報が古い」「情報が少ない」といった意見が寄せられたといいます。そこで日々刻々と変化する新型コロナ情報を迅速に収集すべく、上層部の協力を得て体制を刷新。その後はタイムリーな情報が入ってくるようになりました。

また新型コロナ情報を一元化するために、ホームページもリニューアル。Googleアナリティクスで分析を繰り返しながら、住民が知りたいであろう最新の情報を届けられるよう工夫しました。バナーもクリック率を分析しながらマイナーチェンジするなどした結果、PV数は昨年比2倍になったといいます。

読みやすさだけでなく情報自体のわかりやすさも重要

またアナログでの情報発信にも力を入れ、郵便局やコンビニ、薬局、スーパーなどに新型コロナに関する市のチラシを置いてもらいました。普段からそうした事業者とは協力関係にあったため、快く置かせてくれたといいます。それを聞いた佐久間さんからは思わず「やっぱり平時の取り組みが重要ですよね」との感想が。

以前から「生駒市の広報に相談すれば、いい対応をしてくれる」との評判が広まっていて、コロナ禍においても相談が相次いだそうです。結果、広報課が学校のオンライン授業や、飲食店の支援などに携わったとのこと。先払いで飲食店を応援する「さきめし」を最初に実施したのは、実は生駒市だったのです!

SDGsに向けては「情報のユニバーサルデザイン化が大事」と訴える村田さん。生駒市庁内の情報は膨大でわかりにくいため、広報課で受け取って、それをわかりやすく咀嚼して市民に伝達。今度は市民の人々に何がわからなかったかをヒアリングして、再び庁内にフィードバックしているとのことです。

今回のセミナーに参加した方からは「SDGsは情報をわかりやすくすること、そして街に住みやすくすることが基本だとわかりました」との感想が寄せられました。ほかの参加者にとっても、多くの気づきが得られたはずです。