2022.12.21

いただいた質問への回答

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こちらのページでは、2022年12月11日(日)に開催したオンラインセミナー「現場の最前線が知れる!多文化共生に向けた日本語教育の支援」でいただいたご質問への回答を掲載しております。
※回答は随時追加となります。

Q1. UDデジタル教科書体を使うための環境

基本的な質問で申し訳ございません。UDデジタル教科書体を使うには、何がインストールされていたらいいですか。UDデジタル教科書体が大好きで、個人的にはよく使っているのですが、新しく貸与されたPC(Windows10以降)だと最初からWordなどに入っていますが、古いものだと入っていないので、Wordで教材を作成して校内で配布する場合には既存の教科書体をまだ使わざるを得ないことが多いです。また、学生にパワーポイントを使ってプレゼンをしてもらうと、どうしても母国のフォントになってしまい、漢字間違いで減点になってしまいます。
また、UDデジタル教科書体を外国人にも使ってほしいのですが、学生たちが持っているデバイスのすべてを把握できてないので、どのように案内したものかと悩みます。ユニバーサルデザインとありますが、いろいろな国のパソコンで実際に使えますか?

日頃よりUDデジタル教科書体をご活用くださり、有難うございます。Windows10以前のPCをご活用の方や、Macをご利用の方には「MORISAWA BIZ+」という年契のサービスをお勧めしております。個人利用の場合、3,960円(税込)で1年間、55書体のUDフォントがご利用いただけます。https://www.morisawa.co.jp/products/fonts/bizplus/
学校単位(100台〜)でご活用いただく場合は、公共団体向け「MORISAWA BIZ+」というサービスがあり、台数によって割引率が変わるので、上記サイトからご相談いただければと思います。Google、Appleといった他企業の標準搭載については、弊社では決められないので、各企業様にユーザの声をお届けいただけますと幸いです。
Windows10以降であれば、海外でもUDデジタル教科書体をご利用できます。また弊社のサポート外となりますが、「MORISAWA BIZ+」を海外でご活用の方もいらっしゃいます。(回答:株式会社モリサワ)

Q2. Keynote、PagesでのUDデジタル教科書体の扱い

日本語学校で留学生に日本語を教えている者です。MORISAWA様への具体的な質問になってしまいますが、MacのアプリケーションのKeynoteやPagesで、標準でUDデジタル教科書体を配信していただく予定はありますか。現在は「MORISAWA BIZ+」を契約してスライド等を作成しています。授業時はデバイスを変えて、iPadで資料の投影を行なったりもしています。Windows同様、標準で利用できるようになると大変助かります。

日頃よりUDデジタル教科書体をご活用くださり、有難うございます。Google、Appleといった他企業の標準搭載については、弊社では決められないので、各企業様にユーザの声をお届けいただけますと幸いです。(回答:株式会社モリサワ)

Q3. セミナー内で紹介されたURLが知りたい

【セミナー内で紹介したURL】
■教材・漢字の書き順教材はこちらからダウンロード可能 https://go.morisawa.co.jp/l/896081/2021-07-07/w6fc
・ひらがな書き順教材はこちら https://fontswitch.jp/post/8236
・2022年5月に実施した日本語教育向けセミナーのレポートhttps://fontswitch.jp/post/11457

■日本語教師向けに実施した研修会のレポート
・国際交流基金メキシコ日本文化センター様 
『【研修動画の特別公開】モリサワだからこそ伝えられる、UDフォントの魅力を引き出す日本語教師向け研修会』 https://fontswitch.jp/post/12840
・ABK学館日本語学校様 『日本語教師の悩みを解決!学びの障壁を減らすフォントとレイアウト』 https://fontswitch.jp/post/9167

■日本語教師へのインタビュー『タイ赴任で外国人になってわかった「文字を読む」むずかしさ、初学習者にUDデジタル教科書体を勧める理由』 https://fontswitch.jp/post/10441

■特別支援教育向けデジタル教材配信サイト「Teach U」 https://musashi.educ.kumamoto-u.ac.jp/jlt/ 
(回答:株式会社モリサワ)

Q4. Keynote、PagesでのUDデジタル教科書体の扱い、PDFの投影

MacのアプリケーションのKeynoteやPagesで、標準でUDデジタル教科書体を配信していただく予定はありますか。授業時は持ち運びの利便性、投影時のページめくりのしやすさなどから、iPadで資料の投影を行なっているのですが、Macで「MORISAWA BIZ+」を利用し、UDデジタル教科書体を使ってスライドを作り、iPadではそれをPDF化したものをテレビに投影しようと考えましたが、PDFの仕様では全画面に表示できず、文字が小さくなってしまうため、結局MacのKeynoteの資料(通常の教科書体)をそのままiPadで開いて見せています。
UDデジタル教科書体は字形が大きくて非常に見やすく、縦長の教室が多い学校では、後ろの生徒にもよく見えるため重宝されると思います。また、学校現場でもPCだけでなくタブレットを利用して授業をされる先生も増えているように思います。また、オンライン授業では、スマホで参加する学生にはPDF等が送付できないため、Googleのスライド等であれば簡単に資料の共有ができ便利です。Windowsだけでなく、MacやiPad、Googleスライド等など、どんなデバイス環境でも標準で利用できるようになると大変助かります。利用できる環境が増えると、より多くの人に多くの場面で利用してもらいやすく、普及が広がるのではと思っています。どうかご検討のほど、よろしくお願いいたします。

日頃よりUDデジタル教科書体をご活用くださり、有難うございます。Google、Appleといった他企業の標準搭載については、弊社では決められないので、各企業様にユーザの声をお届けいただけますと幸いです。

問題を解消できるかはわかりませんが、MacのKeynoteでご活用の場合、PDFにしたデータをKeynoteに貼り付けてみるのはいかがでしょうか。
皆さん、それぞれのご環境で利用されるよう今後も私たちも努力していきますので、応援を宜しくお願いいたします。(回答:株式会社モリサワ)

Q5. 文章を読むのが困難な学生への支援

学生の中には学習障害があるのではないかと危惧するぐらい文章を読むのが困難(文字をひとつひとつ読む漢字で、おそらく単語としてとらえながら読むことができない学生がいます。語彙を覚えられていないのが要因なのか、視覚→認知の問題なのか、どのような支援、教材の工夫ができるのか、何かアドバイスがあれば、いただきたいです。

学習障害を抱える方にもUDデジタル教科書体は読みやすいと言われていますが、フォント選択と同様にその使い方も大切です。私たちも日本語教師向けの使い方セミナーも行っていますので、ぜひこちらのサイトもご参考にしてください。
日本語教師向け研修会 https://fontswitch.jp/post/12840
また、同じ読みに困難さを抱えている人でも、その学生によって原因は様々です。原因やその配慮については、書体や組版だけでは解決しないことも多いので、その学生が求めている配慮方法を聞いてみる、または専門の機関にご相談ください。
(回答:株式会社モリサワ)

Q6. ルビ付き資料の作成

個人的な意見なのですが、ルビ振り機能がもっと充実するとありがたいです。今は、一括でルビを付けることができず、ルビ付きの資料作成には、通常の2倍~3倍の時間を要します。中学校では、定期考査の際に、問題をそれぞれの教師が作成するのですが、せっかくルビを振っていただいても、ルビのチェックまでできていなくて間違っていたり、数字やひらがなにまでルビが振られてしまうことでかえって読みにくい文章になってしまうケースもあります。何かルビ付きの資料作成の短縮化などアドバイスがあれば、ご教示ください。

東京大学先端科学技術研究センターが運営する「AccessReading」のサイトに自動で文章にルビをふる機能があります。Wordにコピペすることが可能のようです。小中学生向けではありますが、どの漢字にルビを振りたいのかも選択できるようです。望んでいるものと違うかもしれませんが、ご参考にしてください。 https://accessreading.org/furigana/
(回答:株式会社モリサワ)

Q7. 渡日間もない児童への指導

渡日、間もない児童を担任しています。授業や生活での配慮はしているつもりですが、なかなか個別に学ぶ機会を持つことが難しいです。ご両親も海外ルーツの方で、家庭学習の難しさを感じています。
① 個別の学習時間の保証のしかた
② 家庭学習の工夫
についてアドバイス頂けたら有難いです。

①限られた時間の中で、個別に学ぶ機会を新たに作ることも非常に困難であるとお察しいたします。すでに学校の中で、校長先生や教頭先生などの管理職の先生方と当該児童のための学習計画は立てていらっしゃると思いますが、学校の中で「特別の教育課程」の編成・実施はいかがでしょうか?
(簡易ではありますが、文科省のURLを参考までに貼っておきます。https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/1341926.htm
また、日本語指導支援員の加配(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/121/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2016/03/14/1367601_09_1.pdf)もありますので、まずは教育委員会と情報共有をして児童の学習ニーズに寄り添った学習計画を立てて制度的に保障していく方法もあります。
②家庭学習の工夫に関しては、当該児童の日本語レベルや学習歴、在住歴にも変わってきますが、保護者の方と「今、何をしていて、どうして今、この学習が必要か」を共有することも必要ですね。日本語が不自由な保護者の方であれば連絡も困難なので、支援者を入れて翻訳・通訳してもらうことも必要です。私の知っている学校では、保護者の方も授業参観しながら学習していました。また、家庭での学習が難しそうだったら、地域の日本語教室や日本語支援の勉強会などと連携するのもひとつの案です。児童は毎時間日本語漬けなわけですから、家庭では母語でのんびりしたい気持ちもあるため、学校→地域の日本語教室→家庭と連携すると気分転換できますね。先生、一緒にがんばりましょう!応援しています。
(回答:岩﨑先生)

Q8. 非漢字圏の学生への指導

日本語は覚えたいが漢字が苦痛なのか真剣に覚えようとしない非漢字圏の学生が多い印象です。彼らは漢字圏の学生と比べると、かなり不利なスタートなので漢字の取得を半ば諦めているようです。どうすれば漢字に興味を持たせられるでしょうか。

非漢字圏の学生がこちらも多いので、同じ悩みを抱えています。学生たちに聞くと、漢字の学習に関して段階を追ってしたことがない学生が多いです。国語を学ぶ日本人児童は小学1年生から部首になる基礎的な漢字を学んでから、複雑な漢字を学びます。留学生はそれらの言葉をエレメントの集合体ではなくひとつの複雑な形として学んでいるという調査結果もあります。その場合、困難を感じるだけでなく非常に苦痛となりますので、まずは基礎的な「へん」や「つくり」を絵で説明することも一つの手です。(この教材を現在、モリサワさんと作成中ですのでリリースをお待ちください)蛇足ではございますが、私の授業では、漢字で自分の名前を作って意味を説明してみよう!という活動(当て字みたいな感じです)や、書道で好きな漢字を書こう!などの体験活動をしています。
(回答:岩﨑先生)

漢字自体の興味かどうか分かりませんが,こんな教材を作って配布しています。触ってみてください。カタカナと漢字が変形してつながる教材です。https://musashi.educ.kumamoto-u.ac.jp/02046-2/
(回答:後藤先生)

Q9. 岩崎先生の検証で、カタカナに関しては何か学習者の反応などありますか?

大変申し訳ないのですが、カタカナに関しては2月に実証実験を始めます。事前におこなったパイロット調査における質問調査では、「UDデジタル教科書体は書く向きがわかりやすい」という反応が多かったです。
(回答:岩﨑先生)

Q10. 留学生でできる調査があれば、学校に伺いができると思います。

※本セミナーでは岩﨑先生から実証実験の中間報告をご紹介いただき、実証実験協力者の募集を行いました。詳細はアーカイブ動画の33:30~35:35で、ご説明いただいております。

ご連絡ありがとうございます。とても嬉しいです。お手数ですが、申込みフォームへご入力いただけないでしょうか。
(回答:岩﨑先生)

Q11. 「やさしい日本語」を広める活動について

「やさしい日本語」を広める活動にとても関心があるのですが、現在勤務している日本語学校は、進学目的の中国から来た学生がほとんどのため、N1取得や大学受験対策などの勉強をすることが多いです。学生の希望でもあります。それはそれで非常にやりがいを感じているのですが、今後「やさしい日本語」を広める活動に軸足を移していくことができれば、とても嬉しいとも思っています。そのために、何か具体的にできる行動はございますか。例えば、勉強できる機関や、働きながらでも参加できる活動や、もしくは取得しておいた方がいい資格など、何かございましたらお教え願えればと思います。

「やさしい日本語」は、弘前大学の佐藤和之先生が災害時に非日本語母語話者へ災害情報を伝えるために考案された「やさしい日本語」と、文化庁が普及を進めている「在留支援のためのやさしい日本語」があります。「やさしい日本語」の学び方はたくさんあると思いますが、まずは文化庁の「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/92484001.html で基礎を学ぶことができます。(残念ながら佐藤先生のホームページは2020年をもって閉鎖されました)現在、多くの地域や自治体で研修会なども開かれていますので情報をチェックしてみてください。「やさしい日本語ツーリズム研究会」https://yasashii-nihongo-tourism.jp/でも多くの情報を得ることができます。また、せっかく勉強なさったら是非とも活躍していただきたいです。私の話で恐縮ですが、留学生の生活に密着しているとやはり「防災」と「やさしい日本語」は切り離せないと思います。よって、「防火・防災管理講習」を受けて必要な知識を得てから、テキストに載っていることばを「やさしい日本語」に変換するなどしています。
(回答:岩﨑先生)

Q12. 学校の先生に「やさしい日本語」の優位性を理解してもらうには?

PTAの文書をやさしい日本語に変えたいときに、教職員から「従来通りで」と言われてしまいます。どういう風にすれば、学校の先生に「やさしい日本語」の優位性を理解してもらえるでしょうか?どうすれば導入してもらえるでしょうか?コツを教えてください

PTA活動におけるやさしい日本語の活用について、各学校の方針もあると思います。私が携わっている学校では今年度、PTA会員向けにやさしい日本語講座を開講する予定です。今後、PTAから発信する案内をやさしい日本語で発信できるようにしたいと考えています。
(回答:前田先生)

Q13. やさしい日本語を必要としている企業の割合

やさしい日本語に関して、実際、外国人を雇用している企業のうち、どのぐらいの割合の企業が必要性を感じてくれているのでしょうか。同国の先輩に通訳をさせて済ませている企業さんも多い印象を受けます。

申し訳ございません、具体的な数はデータとして持ち合わせておりません。
個人的な感覚ですが、雇用している外国人の日本語レベルによって、必要性を感じる、感じないに差があるように感じます。
外国人社員として雇用している場合、あまりやさしい日本語を必要としないと思います。一方で、技能実習生の場合は必要性を感じていると思います。
(回答:前田先生)

Q14. 外国にルーツを持つ児童生徒の受け入れに必要な情報について

海外ルーツのお子さんの就学に際し、学習保障はもちろんのこと進路をひらく意味でも、入管法のことやこの先に何が必要なのかなどの知識が足りないと感じていますし、自治体としても何をどこまで知っておいた方がいいのかということが手探り状態にあると感じています。おおまかでも何か手順の用があればいいのにと感じていますが、どこか整備されているものがあったりしますか?

手順がまとめられているものについて、情報は持っておりませんが、外国にルーツを持つ子供向けの教育に関する研究をされている方の情報をお知らせしておきます。ご参考になれば幸いです。
https://www.shaplaneer.org/curry2021/int02_01/
(回答:前田先生)

文科省では「外国人児童生徒受入れの手引き」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/1304668.htmを作成しています。巻末には関連HPのURLも掲載されているので、大変参考になります。
「子どもの日本語教育研究会」https://www.kodomo-no-nihongo.com/ではワークショップや多くの情報などもあります。ご参考になれば幸いです。
(回答:岩﨑先生)