インタビュー

2020.08.19

PRDESIGN JAPAN株式会社 代表取締役 佐久間智之様 インタビュー

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PRDESIGN JAPAN株式会社 代表取締役
佐久間智之 様

今回は、モリサワのサポーターとして、セミナー登壇や自治体との取組みにご尽力いただいている佐久間智之さんにお話しを伺いました。

どんなお仕事をされていますか?

公務員のキャリアを活かした行政や自治体の広報や業務改善のアドバイザー、デザイナーとしてカタログ作り、フォトグラファーやライターなどを行っています。具体的には東京都中野区、埼玉県北本市、高知県四万十町でアドバイザーを原則リモートで行っています。また、早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員として人材マネジメント部会の幹事でもあります。また研修講師や公務員向けの本を執筆するなどしています。

著書に「Officeで簡単! 公務員のための『1枚デザイン』作成術」(学陽書房)「公務員1年目の仕事術」(ナツメ社)、「公務員の速効ライフハック」(学陽書房)、「パッと伝わる公務員のデザイン術」(同)、「公務員のデザイン大全」(同)。写真家としても金澤朋子写真集「#いいね三芳町」(オデッセー出版)を出版。
佐久間智之さんの著書はこちらから

フォントのスイッチが“ON” になった瞬間

2011年に前職の三芳町で広報紙を作ることになったとき、住民から「文字が小さい」とお叱りを受けていたのですが、翌年の6月号からUDフォントを全面的に活用した結果、ぱったりとクレームが無くなったこと、そしてわざわざお手紙で「読みやすくなりました」と感謝の言葉をいただけたとき、まさにフォントスイッチがONになりました。
異動初年度は印刷製本とデザインレイアウトを外注していたのですが、上がってくるのがイメージ通りのデザインでなかったんです。「雑誌と何が違うのだろう」と手あたり次第に雑誌を読み漁り自己分析した結果、「フォント」が決定的に違っていたんです。レイアウトを雑誌と同じにしてもフォントが違うと印象が全く変わる。いくら良い写真でもフォントで台無しになってしまうこともある。「美しいフォント」「読みやすいフォント」を使用することが美しい、読みやすい紙面に繋がることに気が付きました。

UDフォント採用前と採用後の三芳町広報誌「広報みよし」

よく使うモリサワのUD フォントとそのご利用シーンはなんですか?

広報紙では縦書きの本文は「UD黎ミン」、横書きは「UD新ゴ」が原則ルールにしています。三芳町では全庁的にUDフォントを導入していたので「BIZ UDゴシック」「BIZ UD新ゴ」と「BIZ UD黎ミン」を必ず内部文書や資料、住民に記入いただく申請書に使うようなルールにしています。

UDフォント採用前と採用後の三芳町の申請書

あとはUDでないですが、A1明朝は品のある写真に相性がよく、タイトルなどによく使用しています。A1ゴシックもゴシック体で墨だまりがある、和風と洋風を合わせた雰囲気があって好きですね。

A1明朝を使用した広報誌紙面

これからチャレンジしたいこと

公務員が情報を伝えるではなく「伝わる」を意識すれば住民サービス向上に繋がると思っていると同時に、内部でも上司や部下に対して情報や想いが「伝わる」ことで業務改善になると信じています。その伝わる第一歩として「UDフォント」を活用することが挙げられます。新型コロナウイルスでオンライン化が進み、メールやチャットなどリモートの機会が大きく増えました。裏を返せばそれだけ文字を目にする機会が増えたということです。ストレスなく文字を見ることができるUDフォントで仕事をしていれば疲労の軽減、誤字脱字の早期発見からの業務改善など、フォントが持つ可能性は無限大だと思っています。一方、誰一人として取り残しのない質の高い教育をみんなにというSDGsの4つめの目標にあるように、ディスレクシア(読み書きが苦手な学習障害)の子たちへの配慮を推進したいと考えています。そのためにUDフォントという存在があり、それが人を救うことができる。UDフォントの可能性を広げていき「フォントはなんでもいい」から「UDフォントでなければ読みにくいよね」が当たり前のように選ばれる世の中にしていきたいと思っています。
それは、2012年にモリサワフォントに救われた思いからで、フォントに恩返しをしていくことが私の与えられた人生の使命だと思っているからなんです。

これからモリサワのUD フォントに期待することは何ですか?

2つあって、1つめはBIZ UDフォントがあるのであれば、行政UDフォント、公務員UDフォントというものがあったら面白いですね。例えばどの自治体でも絶対に予算書、決算書を作るわけです。小さな数字と文字が細かく書いてあって、結構ストレスになります。それを小さな文字や数字でも読みやすい「行政UDフォント」に変えることで業務改善につながり、それが世に浸透したら嬉しいなと思います。

2つめはUDフォントレシピを作ってほしいなって思います。僕はデザインレイアウトは料理と同じだと思っていて、良い素材があっても、調理方法で上手くもまずくもなりますよね。そして盛り付けで美味しそうに見せることもできるわけです。
例えば提案資料があって、とてもよい事業内容であっても、デザインレイアウトがぐちゃぐちゃだったりフォントが潰れていて読めなかったりとか、提案を判断する上司が老眼で文字が読みにくいと、だめだしされるということってあると思うんです。
であれば表を作るときには「UDのコンデンスフォントが有効です」みたいな形でこのデザインにはこのUDフォントのような形のレシピがあるといいなあと思います。

佐久間さん、インタビューへのご協力ありがとうございました!
是非、モリサワに期待いただいた、「行政UDフォント」・「UDフォントレシピ」の実現に向け、これからも様々な取り組みに、ご一緒させていただければと思います。