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2024.02.26

東洋美術学校 岸本優香先生インタビュー

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東洋美術学校
クリエイティブデザイン科 高度コミュニケーションデザイン専攻
岸本優香 先生

Q.東洋美術学校で学べること・重視していること

東洋美術学校は、デザインとアートの学校として発想力、表現力、そして人間力を備えたクリエイターを育成しています。さまざまな領域に特化した学科があり、学びたい領域に合わせて学科を選ぶことができます。
本校のデザイン系学科が重視していることは、文字を理解し使えるようになることです。文字はデザインの基礎であり、さまざまなメディアで使用されています。そのため、文字の知識はデザイナーにとって必要不可欠と考えています。

Q.岸本先生の担当されている専攻や授業

私が担当するのは4年制の「クリエイティブデザイン科 高度コミュニケーションデザイン専攻」です。

この専攻では「考える力」を鍛え、デザインの企画から制作まで一貫したスキルを身につけることができます。デザインの基本である色や形、文字をはじめ、応用である印刷物や広告、ブランディングなど幅広く学ぶ事ができます。グラフィックデザインだけでなく企画から携わる、現代のデザイナーを育成したいと思っています。

生徒も「いろんなことを学びたい!」という気持ちが強い子が多いですね。4年制なので、じっくり自分と向き合って学べます。興味の幅が広く迷ってしまう生徒も、いろんなことに手を出して、好きなことを見つけたらより専門的に学ぶことができる専攻だと思います。

私が担当している授業は、デザインの考え方を学ぶ「デザイン演習」という1年生の授業です。デザインとは何か考え、制作プロセスを体験する事で、制作に必要な考え方を学びます。デザインを考えるにあたり文字と密接に関わることが多いため、ほとんどの生徒は課題でモリサワフォントを使用しています。

例えばカフェのブランディングという課題であれば、チラシやメニュー表やパッケージ、ポイントカードなど、生徒はトータルでデザインしています。授業では企画書も大事に、見出しや本文の文字に気を遣うようにと指導していますね。

Q.モリサワフォントを設備・個人PCに導入する理由

モリサワフォントは、組版において特に縦組に信頼が高いフォントとして知られています。その歴史と信頼性から、生徒が高品質なデザインを実現できると考え導入しました。授業や課題で文字を取り扱う機会が多いため、信頼がおけるモリサワフォントを設備や個人PC に導入しています。

多様なフォントが使えるため、生徒の作りたいイメージにフィットさせやすいと感じています。個人的にも、学生時代購入して使っていたのでなじみ深いフォントが多いです。

Q.生徒にどのようにフォントを活用してほしいか

有名なフォントだけではなく、自らのデザインに合うフォントを見つけて、フォントの特性を活かした使い方を学んでほしいと考えています。感覚をシャープに使い、多様なフォントを通じて表現を増やしてほしいです。そして、柔軟性を持ち合わせたデザイナーに成長する事を期待しています。

Q.実際にフォントを活用している作品について

タイポグラフィを習得した生徒が受ける3年生の授業「ブックデザイン」では、グループワークで文字組から装丁、広報まで取り組みます。可読性を追求するだけではなく、イメージ戦略や読まれるシーンなどを考え、制作しています。

本をあまり読まない、若い世代をターゲットにした生徒作品

4年生では、グループワークで1冊の雑誌を創る授業「雑誌企画編集」があります。
フォントだけではなく、組版やレイアウトなど様々な知識を活かしながら、架空の雑誌を制作しています。

雑誌の読者ターゲットを設定し、広告や連載記事など全てのページを制作した生徒作品

例年実施しているモリサワさんとの産学連携授業では、普段CG・ゲームやプロダクトデザインを学んでいるような、文字の授業がない専攻の生徒も一緒に受講しています。タイポグラフィーを身近に感じる機会にして、今後の卒業制作やポートフォリオに役立てて欲しいですね!