素敵なメンバーをおひとりずつ紹介する【モリパス部 メンバー紹介】。
今回はモリパス部顧問 須田がお伝えします!
今回は、このモリパス部員にフォーカス!
市橋 祐輝(いちはし ゆうき)さん
首都大学東京大学院 システムデザイン学部 インダストリアルアート学域 1年
好きな書体は「すずむし」。
そんな市橋さんには、このお題で作品を作ってもらいました!
東京〈Tokyo〉 ×書体 〈Typography〉
コンセプト
「東京」を「人やモノが集まり交流することで、新しい価値が生まれる場所」として捉え、いくつもの車線が交錯する首都高のジャンクションをモチーフに表現してもらいました。
このオブジェでは、様々な曲線や直線が交差する文字のフォルムを道路に見立て、5種類の書体を使った「東京」の文字を切りとり、いくつものレイヤーに重ねて奥行きを作ったとのこと。直接的に「東京」という文字だと認識させずに、一部を大写しにすることで、フォルムに着目してもらうように心がけたそうです。
テクスチャにはセメントを用いて、道路の質感を表すと共に、均質な部分とほころびのある部分を持たせました。
質感の追求
制作で苦労したところは?という質問には、「木材になかなかセメントが定着せず、その方法を探るのに時間がかかったこと」と答えてくれた市橋さん。最終的には湿らせた表面にスプレーセメントを吹いてレンジで熱することで定着させたそう。そんな苦労の甲斐あって、重厚な仕上がりになりました!
書体のディティールの違いに注目!
文字をモチーフにした作品は初めて制作したとのことですが、オブジェを作っているうちに、今まで全体の雰囲気で捉えていた文字の、様々な書体各部のディティールに目が向くようになったとのこと。
文字として読む時に受けた印象と、一文字ずつ拡大してフォルムを見た時の印象がかなり違うこともあり、よく見ないとわからない曲線の機微から、その書体の雰囲気が作られていることに気がつきました。
書体の全体的な印象と、拡大してエレメントに注目した時の印象が異なることに気がついた市橋さん。まさに、フォントの感性が”ON”になった瞬間ですね!
様々な「東京」、様々な「書体」
書体選びでは、「明石」はハイカルチャー、「はるひ学園」はサブカルチャー、「凸版文久明朝」は伝統、「G2サンセリフ」はモダン、「カクミン」はシステマティック……など、様々な東京のイメージで、5つの書体を選んでもらいました。
書体の選出も明朝やゴシック、毛筆書体などできるだけ違う文脈のデザインから選び、多様な価値観が重なり合い、新しい価値が生まれる東京の魅力を描いてくれました。見慣れていたはずの書体の新たな格好良さに気付ける、クールな作品になったと思います!
今後
「大学院の専攻では機能を持たない純粋な作品を制作する機会はなかなかないので、新鮮な体験でした」とモリパス部での制作活動を語ってくれました。
書体が持つ文字としての印象と、純粋なフォルムとしての印象を使い分けられるようになると、表現の意図を強く伝えることができると思うので、デザイン制作の際に意識して取り組みたいと思います。
そんな言葉も頼もしい市橋さんには、これからフリーペーパーチームでデザインワークの腕を奮っていただきます!顧問も楽しみにしています!!