インタビュー

2018.02.23

関西モリパス部イベント『書体からみるデザインワーク』インタビュー紹介:萩原先生編

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218日に開催されたイベント「書体からみるデザインワーク」に事前インタビューでご協力いただいた先生方のお話を今日から5回にわたってご紹介します!イベントの限られた時間の中ではご紹介できなかったお話も!当日イベントに参加してくださった方も、今回は残念ながら参加できなかった方もぜひチェックしてみてください。

初回は、私、関西モリパス部の篠田が所属する神戸芸術工科大学の萩原先生です。

 

神戸芸術工科大学
萩原 小麻紀 先生

Q.どのようなお仕事や制作をされていますか?

一番大きなウェイトを占めているのは大学教員としての仕事です。大学院にも通っているので、学びながらエディトリアルデザインコースの指導もしています。主にアプリケーションの修得を目的とした実習授業を中心に、ブックデザインなどを教えています。 仕事は自身が勤める神戸芸術工科大学に関するデザインが多く、オープンキャンパスのフライヤーや、Tシャツ・クリアファイルなど、広報物の制作に携わっています。それ以外も神戸での仕事が多いですね。最近は神戸映画資料館の映画祭のフライヤーを制作しました。仕事としては、書籍以外が大部分を占めていますね。

Q.お仕事での書体の位置付けは?

位置付けって難しいよね。

お仕事をいただいたときに、なんとなくフォントのイメージが浮ぶことはありますが、書体だけを意識してデザインをすることはありません。文字からちょっと離れているけれど、クライアントと会って、大事にしていることとか、現場を訪れた時の空気や質感とか、さまざまな情報の収集や、体験の積み重ねで、ようやくあらわれてきます。私は瞬間的に決め「られない」です。物のかたちだけを作っているわけではないので、文字だけでなく、紙を選択するときも同じだと思います。

Q.フォントの感性が“ON”になった瞬間は?

「良いもの」を見たときよりも、むしろ「そうでないもの」を見たときにフォントの重要性を感じます。

あとは本を読むときとか、日常生活のなかで目に入ってくる文字情報の、字間・行間・フォントなどのことが気になります。意識的に扱わないと大変なことになると感じることもありますね。自分で制作するときには、それを思い返すので、ONになるというよりは、なんとなく常保温みたいな感じ、沸騰するっていうよりは、ずっとあったかいみたいな。フォントを使う人間としては常に意識をしていないといけないのかなと思いますね。

Q.推しフォントは何ですか?

秀英にじみ明朝

今までとはまた違ったものが出てきたなと感じています。これからどのように使われていくのかが楽しみな書体です。

実際に仕事でも使用しました。デジタルだけれどアナログな佇まいが面白いし、思いのほか紙面に馴染み、使いやすかったという印象です。秀英体がベースになっているので、美しさは保たれていると感じます。墨だまりがつくられているのですが、なんとなくフラットな印象もあって、今の日本のデザインの空気を感じます。