2022.07.26

【連載】よくわかる!組み込みフォント「まず、フォントを知ろう。」

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はじめに

組み込みフォントの基礎知識や用語などを解説していく連載記事「よくわかる!組み込みフォント」をスタートします。
今回はフォントの種類や全角・半角といった「フォント」全般についての解説と、組み込みフォントを検討する上でのポイントをまとめました。

フォントとは

もともとは、同じサイズ、同じデザインのひと揃いの欧文活字を指していた言葉で、書体情報がデジタル化されるようになってからは、組版に利用できる、デザインが共通したひと揃いの文字の集まりのことを「フォント」と呼ぶようになりました。

同義語のように使われることの多い言葉として「書体」があります。
本来「書体」とは、共通した表情をもつ文字の集まりのことです。和文書体は「リュウミン」「新ゴ」など、共通のコンセプトによって作られたものを指し、それぞれ「明朝体」「ゴシック体」のように大きく分類することができます。

上:リュウミン(明朝体) 下:新ゴ(ゴシック体)

欧文書体は、線幅に強弱がある「セリフ体」や、均一な太さの「サンセリフ体」、手書きをイメージした「スクリプト体」などに大きく分類されます。

現在ではコンピュータなどで使われるデジタル化した書体を「フォント」と呼ぶことが一般的になっています。

フォントの種類

フォントには、文字の輪郭を繋ぎデータ化した「アウトラインフォント」と文字(字形)をドット(点)の集合体として表現した「ビットマップフォント」、字形の中心座標を直線や曲線で繋げて文字を表現する「ストロークフォント」の3種類があります。

アウトラインフォント

【こんな製品に・・・】
・色んなサイズで表示したい
・色んな書体を表示したい
・画面解像度・利用環境のスペックが高い
・ROM容量が多い

■主な利用製品
PCやタブレット、スマートフォント、車載機器、各種アプリ・ゲームソフトなど

アウトラインフォント

ビットマップフォント

【こんな製品に・・・】
・特定サイズのみの表示
・表示サイズが小さい「20ドット以下」
・画面解像度・利用環境のスペックが低い
・ROM容量が少ない

■主な利用製品
モバイル・産業・物流機器、モノクロ表示製品など

ビットマップフォント

ストロークフォント

【こんな製品に・・・】
・色んなサイズで表示したい
・特定書体のみでの表示
・画面解像度・動作環境のスペックが高い
・ROM容量が少ない

■主な利用製品
CAD、ペンプロッターなど

ストロークフォント

等幅フォントとプロポーショナルフォント

フォントには「等幅フォント」と「プロポーショナルフォント」があります。等幅フォントとは1文字の横幅を一定サイズにして、その領域内にデザインするフォントです。
同サイズであれば1行に表示できる文字数は変わらないため、表示内容が変わってもレイアウトが崩れにくいのが特徴です。

等幅フォント

プロポーショナルフォントは字形に合わせ1文字ごとに横幅が変わるフォントです。
横幅の制限がないためデザイン表現が豊かになり、欧文など文字の間隔が一定になり読みやすくなります。

プロポーショナルフォント

欧文などではプロポーショナルフォントが一般的です。

等幅フォントとプロポーショナルフォントの比較

半角文字と全角文字

日本語フォントには「全角文字」と「半角文字」があります。
半角文字は全角文字の半分の横幅で作成されたJISX0201(日本産業規格(旧:日本工業規格)で制定)に準拠した英数記号カナの半角文字セットです。
※半角文字セットはプロポーショナルフォントで利用されることもあります。

全角文字
半角文字
全角文字
半角文字

日本語フォントの標準規格

日本産業規格で制定された標準的に利用されている日本語文字セット規格は以下になります。
・JISX0208:JIS非漢字、第1水準・第2水準漢字
・JISX0213:JISX0208に第3水準・第4水準漢字を追加

モリサワが組込用途で提供している標準的な日本語文字セットは「Windows31J」です。
内訳:JISX0208、JISX0201、NEC特殊文字、NEC選定IBM拡張文字、IBM拡張文字

組み込み利用のフォントについては、以下の内容をご確認のうえ、仕様に合ったフォントをご検討ください。

■製品仕様

利用形態【例】表示利用または印刷利用など
利用環境(OSなど)【例】Windows10
解像度【例】640x480px
表示パネルサイズ【例】5インチ
表示パネルの諧調【例】フルカラーやモノクロ(2諧調)など
 ※モノクロパネルはアウトラインフォントの利用に向かない場合がございます。
表示したいサイズ【例】16~24ptや16ドットなど

■フォント仕様

利用したい文字セット(言語)【例】Windows31J
 ※文字の追加やカスタマイズ(修正)の有無など
利用したい書体・書体数【例】リュウミン、新ゴなど
  ※ビットマップフォントの場合はサイズ(16ドットなど)
利用方法【例】ハードウェア製品への組み込み

■フォントの費用(使用許諾料)

フォントの費用については一般的な物品販売と異なり、原則的に使用権のみを販売します。
使用権に伴う使用許諾料は、書体(サイズ)数や文字セット(対応言語)、搭載製品、販売(販売予定)数など使用条件で変わってきますので、上記の仕様ならびに販売予定数(想定数)をうかがい、個別にお見積りさせていただくことになります。


以上がフォントに関する解説になります。
ご質問などがあれば直接メールにてお問合せください。

問合せ先
株式会社モリサワ セールスイノベーション課 salesinnovation@morisawa.co.jp

よろしくお願いいたします。