
Morisawa held an online UD font seminar for three days from July to August 2021, inviting people who are actively using UD fonts in the educational field.
Under the theme of "Aiming for high-quality education that leaves no one behind," he spoke about the forefront of learning, including English education from elementary school to university, and Japanese language education for international students.
今回は、Day2のレポート記事です。(記事:モリサワ 高田裕美)
Day1(1),Day1(2),Day 3
Along with each seminar report, you can also watch archived videos from the day.
*Registration is required to watch videos.
The role of "UD Digital Textbook" in second language education
〜日本人が学ぶ英語・留学生が学ぶ日本語〜
登壇者:群馬大学 大学教育・学生支援機構大学教育センター 教授 飯島睦美 氏

〜日本人が学ぶ英語〜
おとぎばなしの読者を惹きつけるタイトルフォントの話から、フォントが学習する際の意欲を駆り立てるという課題の話へと引き込まれる内容です。第二言語を学ぶ際に、母語干渉が音声・語彙・形態・意味など言語のあらゆる領域で影響することを示唆しています。飯島先生は、子どもが文字を獲得するプロセスにおける大切なポイントとして「教科書や教材で提示されるフォント形状や教育現場で英単語や英会話を示すフォント形状は、最初に学習する手書き文字に再生しやすい形状であることが望ましい」と述べています。また「単語を示すときは、単語として認知しやすい判読性の高いフォントを選択、英文を読むときは、英文の読み易さを助ける可読性の良いフォントの選択が好ましい」という仮説の元、学生を対象に3つの欧文フォントで比較し、読みやすさの調査(単語・熟語・長文表記)を行い、U Dフォントの有効性を具体的に示しています。



登壇者:長崎短期大学 准教授 岩﨑千恵 氏

〜留学生が学ぶ日本語〜
日本社会における「手書き」のまなざしとして、手書きは大切な文化、印刷にはない情緒や個性を示す、漢字取得に繋がるなど好意的に受け止められており、留学生の書字についても整った字を書くことが期待されている反面、初期学習者のひらがな・カタカナの取得は、留学生の場合、短期的で印刷物による自主学習に頼っており、あまり重要視されていないのが現状であると示唆しています。また手書き文字の事例として、資格認定試験、就職のための履歴書、住所・氏名などの登録など生活において、手書きの文字(悪筆・達筆・誤字)により本人の利益・不利益に繋がることも多いことを指摘します。
岩﨑先生は、模倣学習を勧める現場において、そこで使うフォント形状が重要との見解を、自身の経験や色々な論文、母語干渉の事例を交えて示し、留学生の書字学習において明示的学習(教師による指導)と暗示的学習(教材などによる自主学習)を交互に継続的に指導する必要があるため、留学生が目にする教材のフォントは可能な限り、初級者に対し手書きのお手本となり、上級者に対し暗示的な学習に有効である「UDデジタル教科書体」を使用していると述べました。実際に留学生による聞き取り調査でも、3種のフォントを比較し、読みやすい・好ましい・手書きの文字との一致性のどの観点においても、「UDデジタル教科書体」の使用が望ましいとの結果が出ており、実際に宿題の提出率も書体によって変わると話しています。



パネルディスカッション:
第二言語教育における「UD デジタル教科書体」の役割
パネリスト:飯島睦美先生/岩﨑千恵先生
モデレータ:UDデジタル教科書体 開発者 高田裕美

飯島先生のご講演の中で母語干渉の話に触れましたが、やはり学習目標言語を学ぶ上で母語に引きずられるということはあるのでしょうか?

発音統合のあらゆる点で母語干渉はあります。日本語は「か」なら「k」+「a」で「ka」というように、子音と母音の組み合わせで1モーラ(音の文節単位)を作ります。日本人が英語を発音する時にカタカナ発音になりがちなのは、母語の発音に引っ張られるからです。文法においても、英語の初学習者は、SVOでなく、SOVになりがちですし、日本語にはない英語の冠詞の扱いも難しいです。
岩﨑先生もおっしゃっているように、自分で気付ける学習者ばかりではないので、日本語と英語の違いを明示的に示すプロセスは大事だと思います。岩﨑先生もご講演の中で、ミャンマーの学生の大変興味深い母語干渉例を示されましたが、他にも何かありますか?

ミャンマーの学生は中学から英語も学んでおり、母国語、英語に続き、三番目の言語として日本語を習うので、先ほど示した母語干渉以外に、外国語を学ぶ意識が強く、ひらがなであっても極端に直線的に書いてしまう傾向があります。
また、中国の方も漢字を扱うので、つい中国風な漢字を書いてしまうということがあります。
中国の方は「毎」の字の囲まれている中の縦線を波打つように書くこともあり、また正方形のマスの中に書く文字が縦長になることが多い印象があります。

中国の書体は縦長の形状をしているものも多く、地域にも寄りますが縦長の書体(宋朝体)が好まれたりしますね。言語を教える側にとって母語に引きずられることは悩ましい点でしょうが、私のようなタイプデザイナーにとっては大変面白く興味深いです。各国の母語干渉について研究したら、なぜこれが出来ないんだろう?ということが解明できるかもしれませんね。

飯島先生にはたくさん聞きたいことがありますが、小学生に初めて英語を教えるときに気を付けていることがあれば教えてください。

導入の方法は、先ほども少し触れましたが音韻イメージをしっかり定着させることから始めます。すでに日本語になっている言葉を英語の発音にして、二つの音の違いを知った上で文字を結びつけるようにしています。

飯島先生がモリサワと一緒に無償配信している教材ですが、そちらも音韻イメージの定着を考えてアイデアを出してくださっていますよね。

「英単語 絵カード」は、子どもたちが知っている単語を音に出来る、そしてその音から文字と結びつけられるという教材です。子どもたちが好むような可愛らしいカードに仕上がっているので、ぜひ活用して頂ければと思います。音素と文字を結びつける活動は、文字を書く前の段階で時間をしっかり設けて行うことが大切で、その後の英語学習の取得にも繋がっていきます。
この後も、オンライン授業での学生の負担にならないフォント選び、携帯で資料などを見る留学生からのフォントへの反応、部首の色分けなど漢字学習を助ける「筆順フォント」の紹介、会場からの具体的な質問からの回答へと興味深い内容が続きます。
ぜひ、Hereよりアーカイブ動画をご視聴ください。