interview

2025.12.25

【導入事例】庁内全体で広報力の向上を! 自治体職員こそ学んでおきたい資料作成スキル

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山形県中央部に位置する村山市は、東西を奥羽山脈と出羽丘陵に囲まれ、市の中央を最上川が流れる自然豊かなまちです。そうした市の魅力を広報紙やホームページで発信する際に、同市総務課広報広聴係の鈴木様は課題を感じていたと言います。広報力の改善を考える中で、2024年度に山形市で行われたモリサワの研修を知り、この度の「『伝わる』資料デザイン プログラム」を実施することとなりました。

インタビューでは鈴木様の他に、今回の研修に参加された教育委員会の森様、政策推進課の片桐様、保健課の藤田様をお迎えし、参加の目的や成果などについてお話を伺いました。

村山市 保健課 藤田 藍氏(左)、政策推進課 片桐 諒氏(中央)、教育委員会 森 忠昭氏(右)

「何を伝えたいのかわかりにくい資料」に課題感

——研修の実施に至った背景や、抱えていた課題などについてお聞かせください。

鈴木氏 広報紙の発行やホームページの管理を行う中で、各課から上がってくる記事の内容やレイアウトに課題を感じていました。また、広報誌への掲載依頼においても、参加する市民の方にとって重要ではない情報まで含まれていて、発信側の思いが強すぎる印象がありました。また「文字が多くて見づらい」「何を伝えたいのかわかりにくい」といった資料も多く見受けられるため、受け手の視点に立って情報を整理し、要点を絞ったり、優先順位を付けたりする意識を持ってほしいと考えていました。

そうした中で、2024年度にモリサワが山形市で実施した研修を知りました。受講者が取り組んだ課題のBefore-Afterの成果を見て、「村山市でもぜひ実施したい」と思ったのです。庁内全体で広報力を向上させたいという機運もあったため、企画も予算も通って、スムーズに開催することができました。

——受講した皆さまは、どんな思いで研修に参加されましたか?

森氏 自分の作る資料が「人に伝わりにくいのでは」という課題意識がありました。外部向けだけでなく庁内向けであっても、文字数が多くなりがちで「わかる人にしかわからない資料」になっているのではないかと。そこで、一般の方にもわかりやすい資料を作れるようになれば、庁内向け資料の改善にもつながると考えて参加しました。

片桐氏When creating local circulars and event flyers, I would reuse ones made many years ago. However, they were too crammed with text and difficult to read, so I wanted to remake them. Then I saw an advertisement for this training course, and decided to participate, thinking it would help me create easy-to-understand public relations materials.

藤田氏 保健課では健康フェアをはじめさまざまなイベントや催事を実施しているため、市民向けのチラシやポスターを作る機会が多くあります。私は前職でもチラシを作ることがありましたが、専門的な勉強をしたことがないため、なんとなく感性に頼ってしまう部分がありました。それを見直したいと考えていたところ、この研修を知って「これだ!」と思って受講しました。

The set includes lectures, assignments, and corrections, so you can learn and use what you learn next time.

——研修を受講されて、印象に残っていることはありますか?

片桐氏 講義のみの研修が多い中で、課題やワークに加え、添削までしてもらえたことに驚きました。一歩踏み込む内容だったからこそ、技術が身に付いた実感があります。話を聞くだけではすぐに忘れてしまいますし、日々の業務の中で復習するのは容易ではありません。しかし、講義・課題・添削という流れにより、自分の癖に気付けただけでなく、文字や図表の配置といった具体的なアドバイスがあってとても学びになりました。

森氏 理論を教えてもらえたことが大きな収穫でした。研修で取り組むチラシの添削だけでは、その課題にしか対応できません。しかし考え方と技術を学べたことで、今後作成するチラシや資料に応用できると感じました。また、制作を重ねていくことで、さらにブラッシュアップしていけると思っています。

——受講前に、フォントを使いこなすという意識はありましたか?

鈴木氏 既存の文書に使用されているフォントをそのまま使うケースがほとんどで、フォントに対して意識を持っている人は少なかったと思います。よくても、強調するときに太くしたり大きくしたりする程度ではないでしょうか。

片桐氏 今回の研修では、フォントについてもいろいろ教わりました。例えば「P付」の使い分けは初めて知りましたし、字間・行間の調整も学びになりました。フォントに関するテクニックはチラシだけでなく、資料や注意書きなど幅広い場面に応用できるので、意識して活用していきたいです。

藤田氏 保健課は子どもから高齢者までを対象にしているため、例えば子ども向けにはかわいらしい丸ゴシックを使用したり、高齢者向けには文字を大きくしたりするなどの使い分けはありました。そういった意味では、研修とセットで提供されたフォントは非常に使いやすく、有効活用しています。

村山市"Communicative" Document Design Program  

[Part 1: Lectures and group work] 

 受講者の皆さんが日頃どのような資料を作成されているか、また配布された資料のよくない点をグループで意見を出し合い発表いただきました。その後「伝わる」資料の作成には、どういった点に注意を払えばよいのか? 具体的な例を用いながら解説しました。

Discussion on the quality of the materials

[Part 2: Work] 

第1部で受講した「伝わる」資料作成のノウハウを用いて、自身で作成された資料をもとにリメイクしていただきました。
自身のPCで、講師に直接質問できる機会となり、資料作成に関する疑問を時間ギリギリまで質問が途切れることのない、充実したワークとなりました。

[Providing assignments and advice sheets after the course is over] 

研修中に制作が完了しなかった課題制作は、設定した期限までに提出。その後、提出いただいた課題を講師が添削した「アドバイスシート」を返却し、今後のスキルアップ資料として見返していただきます。

アドバイスシートでは、「見る情報」と「読む情報」の割合についてや文字の揃え・行間・余白に関するアドバイスで読みやすさが変わることを実感いただきました。

デザイン性の高い資料が増加。庁内への広がりを期待

——その後の資料作成に変化はありますか?

片桐氏 研修後に資料を作成する業務があったため、文字の配置やメリハリを出すためのウエイト変更など、学んだ内容を早速実践しました。

藤田氏 同じ課の若い保健師さんが受講後に作ったチラシは、デザイン性が向上し、洗練された印象になっていました。私自身も含め、研修を受けた職員は以前よりも質の高い広報物が作れていると思います。

森氏 私の部署からもう1名参加していますが、その職員が作った資料を見ても、フォントや色を限定するなど、今回の研修で学んだことが反映されていると感じました。

鈴木氏 受講された皆さん、学んだことを実務に活かせていると感じています。研修の報告書は庁内で共有していますし、今回の学びを周囲の職員にも積極的に広げてくれたらうれしいですね。そうして係内、課内、庁内全体で広報物の見やすさが向上していくことを期待しています。

幅広い職員の参加につながった「希望者制」の募集

——こうした研修は、まず管理職、次に現場職員といった順で受講していただくケースもあります。村山市ではどのようなお考えがあったのでしょうか。

鈴木氏 今回は特に制限を設けず希望者制にしました。管理職の意識改革から始める方法も効果的だと思いますが、実際に資料を作成するのは現場職員が多いため、オープンに募集をかけました。その結果、20代から60代まで幅広い職員が参加してくれました。

——「他にもこんな研修が受けてみたい」といった声はありましたか?

鈴木氏 今回はチラシの作成を中心とした内容でしたが、例えば「庁内向けの資料や計画書の作成などがあれば受講したい」という声も寄せられています。

自治体では新入職員向けの全体研修や実務に即した研修などは数多くありますが、今回のような、資料のデザインに特化したプログラムはおそらくないと思います。これまで学ぶ機会がなく、知らなかったという職員が多いこともあって、年齢も職位も異なる多様な層の参加につながったのだと思います。

住民に近い自治体職員こそ身に付けておきたいスキル

——全国の市役所職員の方に向けて一言お願いします。

森氏 ご自身の感覚で資料を作成される方が多いと思うので、スキルのある人に業務が集中しがちだと思います。しかしこの研修を受けると、どんな人でも一定レベルの資料が作れるようになると感じました。やはり内容を最も理解している職員が、自身の力で広報物を作ったほうが、より伝わるものになると思います。そういった意味でも、多くの方に受講をおすすめしたい研修is.

片桐氏 自治体職員は住民に近い存在であり、住民向けの資料を作る機会も多いと思います。本来は、住民に一番わかりやすく伝えなければならない立場にもかかわらず、資料のデザインやレイアウトのことを学ぶ機会は少ないのではないでしょうか。“この研修を受けないのは本当にもったいない”。自治体職員こそ身に付けておきたいスキルだと思います。

藤田氏 こうした研修を受けられる機会は非常にありがたいです。また、オープンなかたちで募集があったので、事務補助員などの非正規職員も参加することができました。ぜひ研修の機会をオープンにして、さまざまな職員向けに実施していただきたいと思います。

鈴木氏 自治体職員が受けたことのないタイプの研修を提供できたことは、主催者として一つの成果だと考えています。これを機に庁内全体で広報への意識が高まり、庁内向けも外部向けも、発信力が向上していくことを期待しています。
また、自治体職員はいつどこの部署に異動するかわかりません。現在はチラシなどの広報物を作らない方でも、こうした研修の機会に技術を習得しておくと、いざその立場になったときに力を発揮できるのではないでしょうか。そして、スキルを持つ職員が増えていけば、庁内全体の発信力が高まっていくと思います。

——本日は長時間の取材へのご対応ありがとうございました。

今回の「伝わる」資料デザイン プログラムは、村山市役所庁内の受講者の皆さまの意識を大きく変えたという実感を持って終了しました。その後の資料の質が向上されたとのことで、とてもうれしく感じています。実際の講義内容は、デザインの知識や経験がなくても取り組める内容ですので、ぜひこのプログラムを体感していただけたら幸いです。


「伝わる」資料デザイン プログラム研修の詳細(費用・実施までの流れ・受講者の声など)について、詳しくご紹介しているページをぜひご覧ください。

モリサワでは、「『伝わる』資料デザイン プログラム」として、自治体や学校、一般企業向けにも対面形式にて実施しています。詳細(費用、流れ、参加者の声など)についての資料は、こちらから無料でダウンロード可能です。

If you are interested in the training sessions for the "Communicative" Material Design Program or the UD fonts used in the training sessions, or if you are considering introducing or utilizing them, please feel free to ask us any questions using the form below.