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2022.08.05

[Municipality Day] Towards creating a multicultural community
~Easy Japanese Initiative~

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In order to create a society of coexistence, it is important to provide high-quality education to diverse people and to ensure that they receive the information they need to live. At the online event held at the end of May 2022, Education Day focused on the acquisition of languages other than one's native language and universally accepted fonts, while Local Government Day focused on the public relations of local governments and a society of coexistence. Experts from various industries were invited as guests to give various lectures.

今回は、5月31日(火)の第2部に開催した「自治体と多文化共生社会」をテーマにしたセミナーをレポートします。

If you would like to watch the archived video from the seminar, you can do so below.

*Registration is required to watch videos.
※アーカイブは生野区役所 上林氏パートとなります。

Seminar Report

Satisfaction with the seminar

Participant comments

日本語学習支援者
日本語学習支援者

山脇先生のゼミでの、とても有用な取り組み「やさしい日本語ラップ」を、是非日本語学習者にも紹介したいです。

<span class="fz-12px">自治体職員</span>
自治体職員

生野区役所の上林さんが、「やさしい日本語」に正解はない。工夫して伝わればそれが正解。という考え方は、みんなが無理せず取り組めるお考えで、素敵だなと思いました。

<span class="fz-12px">国際センター担当者</span>
国際センター担当者

多文化共生の現状や、実際の地域の取り組みを知ることができ、大変勉強になりました。地域みんなで協働していける社会になるよう、少しずつ、頑張っていきたいと思います。「外国人との共生」か、「多文化共生」か、という言葉が強く印象に残っています。意識しないで「外国人との共生」になってしまうケースはよくあると思いました。

From Morisawa

<span class="fz-12px">司会|橋爪</span>
Moderator | Hashizume

今回のセミナーでは、多文化共生に関わる自治体、教育従事者、支援者さまざまな方にご参加いただきました。
皆様が普段抱える悩みをお二方の講演により、多くの参加者が解消できそうという結果となりました。

Seminar Contents

「外国人住民と日本社会ー多文化共生の地域づくりに向けて」

明治大学 
国際日本学部 教授
 
啓造(やまわき けいぞう)氏

人口減少とグローバル化が進む中、外国人の活躍が期待されています。
そんななか、日本語がまだ得意ではない外国人が日本で快適に暮らすには、情報を伝わりやすくすることが重要です。実際、1995年の阪神大震災では、避難情報が外国人にうまく伝わらないという状況が起こりました。それを教訓に誕生したのが、「やさしい日本語"is.

「やさしい日本語」とは、「易しい」語彙や文法を用いた、誰にとっても「優しい」日本語のことです。2000年代には、「やさしい日本語」が平時の情報提供にも有効なことがさまざまな自治体で認められ、2010年代にはインバウンド観光での活用も進みました。

さらに2020年には、国によって「やさしい日本語」のガイドラインも策定されています。行政の文書は日本人でもわかりにくいため、まずは情報を整理し、それを外国の方が理解しやすいよう、さらに書き換えることを示しています。

在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン表紙
2020入管庁&文化庁が「やさしい日本語ガイドライン」を発行

また、私のゼミは、やさしい日本語ツーリズム研究会とのコラボで、「やさしい日本語」を
テーマにしたラップの動画を制作しました。テロップの書体はUDフォント(UDデジタル教科書体)を使用するなど、見やすさも意識しています。昨年9月に公開したところ、再生回数4万回を超えました。(2022年5月現在)

やさしい日本語ラップ「やさしい せかい」

政府の外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ(案)が提示され、案の問題点や体制整備の課題などを紹介いただきました。生野区他各地の自治体の取り組みが紹介され、多くの自治体参加者の参考になった時間となりました。

."やさしい日本語とこれからの自治体行政の情報発信"

上林氏

大阪市 生野区役所
企画総務課 
上林 政俊Mr.(かんばやし まさとし) 氏

生野区の住民は5人に1人が外国籍で、「住みながら世界につながるまち」といえます。そんな生野区の広報チームでまず取りかかったのは、広報紙のリニューアルです。

リニューアル後、外国籍の方にも情報がしっかり伝わるよう、モリサワさんの「カタログポケット」を利用し始めました。これによって簡単に紙面のテキストを多言語化できるようになったほか、広報紙をデジタルブックとしてアーカイブできるので、大変助かっています。生野区の広報紙(7月号)をカタポケで見る

ただ、外国人の方々の国籍は約60か国に上るため、すべての言語へ翻訳するには限界があります。そこで活用するようになったのが「やさしい日本語」です。先ほど山脇さんがご紹介されたように、国がガイドラインを策定していますので、それを参考にすると導入しやすくなります。

しかしながら、「やさしい日本語」も万能ではありません。初期対応は「やさしい日本語」に任せつつ、制度や手続に関する詳細はプロの手による翻訳文や、通訳などが必要です。

また生野区はTwitterでも情報発信をしていて、2018年の大阪北部地震では「やさしい日本語」と普通の日本語の両方で投稿をしました。「電車が運休している」ではなく、「電車は動いていません」とするなど、「やさしい日本語」のほうが14倍多く見られるという結果になっています。 「やさしい日本語」は行政だけではなく、多くの人が使わないと広まらないと考え、飲食店等での利用をお願いすることにしました。当初は25店舗だった協力店が、いまでは174店舗に増えています。今後もさまざまな人とつながりながら、「やさしい日本語」を広めていきたいです。

生野区での活動をフェーズに分け事例を交えながらお話しいただきました。上林氏のセミナー全編はHere

."日本語初級学習者に対するUDデジタル教科書体の書字教育及び認知に関する今後の実証検証の紹介"

株式会社モリサワ 公共ビジネス課 橋爪明代

今回のセミナーの2日前(5月29日)には、「日本語を学びはじめた人にとって、わかりやすいフォントとは?」などを考えるセミナーを実施しました。そこでは「やさしい日本語」とUDフォントが相乗効果を発揮し、より情報が伝わりやすくなることが確認されました。

この有用性を示すには、しっかりとしたエビデンスが必要です。セミナー登壇者の1人、長崎短期大学 准教授の岩﨑千恵氏は、いくつかのフォントを用いて、文字の判別のしやすさと正確性を、初期日本語学習者を対象として調査する「日本語学習者を対象としたUDフォントの有用性に関する検証」を実施されています。日本語教育の現場における文字の重要性を明らかにし、学習者の学びやすい環境を整える1つの手立てとして、現在、被験者を募集中です。お力添えいただける方は、ぜひ下記応募フォームより、モリサワまでご連絡いただければと思います。(岩﨑氏が登壇したセミナーはHere)

※応募は終了しました
応募について
・実験目的:日本語教育の授業方法や書字教育教材の改善
・被験者対象:日本語を学んでいる方(日本語能力のレベルは問いません)
・募集対象:被験者の協力が得られる、教育関係者または日本語教師 

※検証の内容や全体のスケジュールなどにつきましては、アーカイブ動画(29:50~51:45)にてご紹介しています。  
※お申込みいただいた方には、担当より実証実験説明会動画などのご案内をさせていただきます。 
※被験者の数が必要な人数に達した場合、募集を終了させていただきます。 
※応募後に、実証試験への参加を辞退することも可能です。正確なデータが取得できないなど、被験者の状況によっては実証試験が実施できない場合があります。 

こちらの調査は、はっきりとした結果はまだ出ていませんが、過去に岩﨑氏が実施した留学生を対象とした聞き取り調査では、3種のフォントを比較し、読みやすい・好ましい・手書きの文字との一致性のどの観点においても「UDデジタル教科書体」の使用が望ましいとの結果が出ており、実際に宿題の提出率も書体によって変わるとお話しいただきました。
(過去に岩﨑氏が実施した留学生を対象とした聞き取り調査はHere)

質問コーナー

今回のセミナーには、自治体関係者を中心に約100名の方が参加されました。最後に質問コーナーを設けたところ、たくさんの方から質問が寄せられ、大いに盛り上がりました。

受講者
Participants

ラップ動画が楽しかったですが、取り組んだ学生の反応は?

山脇氏
山脇氏

ゼミの男子学生3人が外国人にインタビューをしながら歌詞を考えました。作曲と撮影はプロの方にお願いしたものの、演じたのはすべて学生で、本人たちは非常に充実感を感じていました。

受講者
Participants

「やさしい日本語」の協力店をどうやって募ったの?
日本語教育への支援はある?

上林氏
上林氏

私をはじめ、職員が一軒、一軒お店をまわって協力をお願いしました。おかげで初年度は10キロ太りました(笑)

生野区は行政区のため大阪市教育部局として展開していて、一例ではプレスクールがあります。ここでは、海外から引っ越してきた子供たちがいきなり日本の学校に行くのではなく、2週間ほどで日本語と日本の文化を学べる仕組みがあります。

受講者
Participants

やさしい日本語で対応した際、対応している方ではなく周りの方から「失礼な対応」だと思われないか不安です。

上林氏
上林氏

確かに、やさしい日本語は冷たく聞こえるかもしれませんね。やさしい日本語で対応した際の表情が大切だと思います。ぜひ「なんでも聞きますよ!」という気持ちが伝わるように笑顔で対応してみてください。

多くの質問が寄せられました。全体を通して再度、お二人方メッセージをいただき、共生社会に向けた具体的な取り組みについて多くのかたが関心を寄せられていると感じるパートとなりました。


."やさしい日本語」の取り組みでご紹介したUDデジタル教科書体を含むUDフォントが活用できるプラン
セミナー受講者アンケートでも注目いただいたUDフォント。気軽にOfficeアプリで使うなら、We recommend MORISAWA BIZ+. For details,Here

<span class="fz-12px">セミナー受講者コメント</span>
セミナー受講者コメント

やさしい日本語 × UDフォント → 「より伝わる情報伝達」なのだと、納得しました。

Also,自治体、団体、学校組織としての課題解決に興味がある方、UDフォントの活用を検討される方は、下記よりお気軽にご質問ください。

生野区の「やさしい日本語」の取組みでもご紹介いただいた、MCCatalog+(カタポケ)についてはHerefor more information.