
「きょうを、だいじに。」というスローガンのもと、炊飯ジャーやガラスマホービンなどさまざまな製品を開発する象印マホービン株式会社。その商品企画やデザインを担当しているのが、今回研修を実施いただいた商品企画部です。同部では、他部署に向けて新製品の企画内容を説明する資料づくりの機会も多いため、そのクオリティに課題を感じていたそうです。そこで2024年3月に「『伝わる』ビジネス資料作成プログラム」が実施されました。この研修を通してどんな学びがあったのか、また研修後の変化とは。研修担当者である商品企画部 デザイングループの豊田氏(写真左)と、研修に参加した同グループの内藤氏(写真右)にお話をうかがいました。
部内の資料作成スキルを底上げしたい
豊田氏 「今回研修を実施した商品企画部は、デザイングループと企画グループという性質の異なるグループで構成されています。デザイングループは、もともとデザイン室という部署でした。一方の企画は、例えば炊飯ジャーの開発事業部などの企画担当者として、それぞれの部に属していました。それが組織改正で1つにまとまり、現在のかたちになっています。
こうした背景もあり、部全体としての資料作成スキルに課題を感じていました。商品企画部が作成する資料の多くは、役員と営業部門に向けて新製品の企画内容やデザイン説明を行うための提案資料ですが、パワーポイントを使って図やグラフなどを盛り込んで作成するため、そのクオリティにばらつきがあったからです。
例えばデザイングループの資料は、見やすさは意識されていても、専門はプロダクトデザインなので資料作成スキルには個人差がありました。一方で企画グループの資料は、情報を盛り込みすぎてかえって伝わりづらくなっていることがありました。そこで、1つの部として一緒にスキルアップできたらと考え、合同で受けられる研修をお願いしました」
『伝わる』ビジネス資料作成プログラム
〜プレゼン資料づくり〜
【第1部 講義】
「伝わる」資料づくりに必要な、情報整理の仕方や優先順位の付け方、内容に合わせたフォントの選び方といった具体的なテクニックを紹介。

【第2部 ワーク】
課題は「プレゼン資料」のリメイク。また研修後に提出する宿題に対して「アドバイスシート」を返却し、スキルアップを後押ししました。


即効性の高いテクニックと新しい気づき
豊田氏 「研修後、特に企画グループが作成する資料は、情報整理がきちんとされていて、見やすくなったと感じます。また、デザイングループのメンバーにも多くの気づきがあったのではないかと思います。
商品企画部という括りではありますが、これまでデザイングループと企画グループが一緒に研修を受けたことはありません。共通するテーマの設定が難しかったからです。しかし今回は、どちらにも効果がある研修テーマだったので、互いにいい機会になったと思います」
内藤氏 「同じ研修を受けたことで、見やすい資料づくりのルールというか、一つの軸となるような共通認識ができたのは大きな収穫だったと思います。実際、研修後に周りの人の資料を見ると、今までカラフルだった資料がシックにまとまっていたり、情報の優先順位が意識されていたりする資料が増えたと思います」
豊田氏 「すぐに実践できるテクニックが数多くあったからだと思います。私個人としても、『優先順位が高い情報は、文字サイズを大きく・ウエイトを太く』というテクニックが一番印象に残っています。これまで情報に強弱をつけるときは、アンダーラインを引いたり、文頭に図形をつけたりしていましたが、文字のサイズとウエイトだけで印象がかなり変わることに驚きました。情報の強弱がつき、かつシンプルになるのでよく利用しています。
テキストのポイント数の比率『ジャンプ率』についても、多くの受講者が関心を寄せていました。また、どれだけ読みやすいフォントを選んでも、文字の大きさ・太さで強弱をつけても、最後は『行間・字間』が重要だという学び。特に企画グループのメンバーは、行間・字間の調整という発想自体がなかったと思うので、目から鱗だったのではないでしょうか」
内藤氏 「少しの工夫で、断然わかりやすいレイアウトになりますよね。私は特に、色の統一を心がけるようになりました。個人的には、資料にも色やエフェクトを使いたい派なのですが、研修後はキーカラーを決めて、余計な色をできるだけ控えるようにしています。文字の大きさ、色、図形の使い方といった基礎的な技術ではありますが、あらためて学ぶと“確かに”とうなずいてしまうことや、気づきになることが多かったですね。
また、これまでグラフィック系ソフトの勉強はしていましたが、意外とパワーポイントの使い方や見せ方といった研修を受けたことはありませんでした。 そのため、“パワーポイントでこんなことができるんだ”という発見にもなりました」


「見やすい」を言語化。座学とワークの相乗効果
豊田氏 「座学とワークを組み合わせた研修スタイルも効果的だったと思います。当日は各々でPCを開いて作業し、講師の方に見ていただきながら進められました。
特に、サンプル資料の『見にくいところ』を指摘するワークでは、一人ひとりに発言する機会がありました。普段何となく見にくいと感じていたけれど、どう改善すればいいのかわからないという人が多いなかで、その“何となく”を言語化するプロセスは学びになったと思います。実際に、『それわかる!』といった共感の声も多く上がっていました。
また、課題の発表時にもコミュニケーションが生まれたり、休憩中の雑談も弾んだりしていて、終始和気あいあいとした雰囲気でした。オンラインの画面共有ではなく、対面で実施する良さがあったと思います」
内藤氏 「授業のようなかたちで受講できたので、ちょっとした質問がしやすかったり、隣と見比べることができたりして、非常に勉強になりました。ワークで取り組んだ課題に対するコメントも丁寧にいただけてありがたかったですね」

「伝わる」資料づくりが意識の変化につながる
豊田氏 「UDフォントに関しては、炊飯ジャーなどの製品をはじめ、そのパッケージや取扱説明書といった印刷物にも使用しています」
内藤氏 「私は資料にもUDフォントをよく使いますが、とても見やすいですよね。クセがなく伝わりやすいので、どんな資料にも合うと思います。これまで部内の資料は、PCのデフォルトのフォントが使用されている印象がありましたが、研修後はフォント選びも意識されているものが増えたと思います」
豊田氏 「企画グループにおいては、営業向け提案資料のフォントを統一しようという流れにもなりました。研修を通して、少しでも資料を見やすくしていこうという機運が高まったのではないかと思います。こうした意識の変化にもつながるので、「『伝わる』ビジネス資料作成プログラム」の研修は、部署を問わず恩恵があるのではないかと感じています。
例えば営業担当者には、得意先への提案資料をはじめ、さまざまな資料を作成する機会があります。また、マーケティング部ではTVCMから店頭POPまで担当していますが、成果物は主に外注しています。情報整理や見せ方のスキルが身につけば、ディレクションをする立場としてもプラスになると思います。さらにいえば、新入社員研修に組み込めるといいですね。資料づくりのリテラシーが早い段階で身につくので、とても効果的だと思いました」
内藤氏 「今回を基礎編として、さらに応用編、レベルアップ編などがあったらぜひ受講したいですね。いろいろな部署で実施してほしいとも思いますが、もしそれで他部署がデザインについて物申せるレベルになってしまうと、提案するときにちょっと緊張しそうです(笑)」
豊田氏 「会社全体で切磋琢磨して『象印マホービンの資料はすごい』と話題になるところまでいけたら面白いですね(笑)。いずれにしても、資料を見やすくしたいという思いはどの部署にもあるはずなので、他部署にも波及するといいなと思います。さらなるステップアップができる内容やテーマがあれば、またぜひお願いしたいですね」
研修後のアンケートでは、受講者全員から「今後の資料づくりに役立った」「満足した」という回答をいただくことができました。さらに、今回の課題以外に関心のあるテーマについても、「製品やサービスの紹介」「広報・告知文書プレスリリースなど」といったご意見をいただけたので、今後もより良い研修プログラムの開発に注力していきます。
資料作成研修の詳細(費用・実施までの流れ・受講者の声など)について詳しくご紹介しているページをぜひご覧ください。
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